【オランダ】飛行機で日本の大学教員と3時間半も教育の話をした
現在、オランダから日本に一時帰国しています。
空港に着いた時からラウンジではマスク姿の人たちが目立ち、飛行機の中では、
「おぉ、日本に帰るんだ」
と思わせてくれるくらい、多くの人のマスク姿の中に自分が育ってきた国の文化を感じました。
ここ数年…と言っても、そんなに飛行機を利用する機会はないのですが、飛行機に乗ると、教育関係者の方と近く、もしくは隣の席になることが多いです。
これはただ単に、教育従事者が世界に多くいて、そういった人たちが何らかのかたちで飛行機を利用することが多い。ということなのかもしれません。
飛行機には必ずと言っていいほど医師が搭乗している…そういった確率なのでしょうか…
私は飛行機で隣に座った人には話しかける性質を持っています。
そして、今回も例外ではなく。
相手が日本人だとわかり「お仕事ですか?」と会話が始まったのでした。
隣に搭乗していた方は日本の大学教員の方で、デザインを教えていらっしゃる方でした。
元々はメーカーにお勤めで、プロダクトデザインに携わっていらっしゃったようです。
そもそもその当時の方が海外出張が多く、パスポートはいつもスタンプだらけ。
「パスポートは増刷しても足りないくらい。月の半分以上が海外なんてこともよくありました」
そんなことをおっしゃっていました。
また、その企業から駐在というかたちでフランスに5年住んでいらっしゃったこともあるそうで、ヨーロッパの文化は面白いですね。と話が盛り上がりました。
彼は私が高校教員を辞めてオランダに移住した点に興味があり、私は彼が企業を辞め、自分の仕事で教育に貢献したい!と、働きながら大学院に通い、大学教員を志した経緯が気になります。
お互いにどんな想いを抱きながら、企業や教育現場の一員として働いてきたのか、そして、日本の教育に何を想うのか…そんなことを話し合いました。
オランダから直行便のフライトは約11時間ですが、3時間半は話をしていたと思います。
「初対面の人と3時間以上もよく話せるな。爆」
と思われるかもしれませんが、前回のフライトでは、マカオの高校で働く英語の先生と5時間以上話をしたことを記憶しています…人と話をするのは本当に楽しいです。
ちなみにこの時は連絡先を交換するまでに仲が発展しました。笑
私が知りたかったのは、
「最近の日本の大学生にどんな印象を受けますか?」
ということ。
企業に10年、いや15年以上勤められた方が大学教員になり、教育現場で見る学生にどんな思いを抱くのか…
元高校教員としては、自分たちが送り出した生徒たちが大学でどんな風に過ごしているのか。
これにはとても興味があるのです。
しかし、彼からはポジティブな意見を聞くことはなかなかできませんでした。
授業中に居眠りをする生徒や、Youtubeを観るような生徒は、決して”Fランク”と呼ばれるような大学だけに存在するのではなく、一般的な生徒にもよくよく見られる風景だということでした。
無論、自分の学生生活を振り返っても、大講義室で開講されていた300人規模の授業で居眠りをしなかったか?と言われれば「したことなどない!」と胸を張って言うことは出来ません。
「何故この科目を勉強しないといけないのか?」
一般教養科目と呼ばれる授業を履修したところで先が見えない。そんな気持ちはありました。
しかし、自分の専門とする科目、つまり英語に関する授業に関してはやはり目的意識を持って学んでいたと思います。
「これを学びにここへきたんだ」
と思いながら、来る日も来る日も課される宿題に頭を悩ませて学生生活を送っていたと思うのです。
しかし、最近の学生は”専門”とする必修科目にも興味を示さないことも多いとか。
「学生の学びへのモチベーションは、年々低くなっていると感じる」とおっしゃっていました。
そして、将来への不安から精神を病んでしまうような学生もとても多いのだそうです。
バイト三昧の日々中で「バイトがあるのでできません」と、課題の提出を拒む生徒もいるとかいないとか…
就職後も保護者から電話がかかってきて「息子が会社を辞めたいと言っていて…」などという相談も。大学の先生も大変です。
大学の先生の”本職”ってどこにあるんでしょうか…ご自身の研究にきちんと費やす時間があるのだろうか。そんな考えが頭の中で巡っていました。
正直、私が現職教員の時も生徒は冗談交じりに言っていたのでした。
「先生、大学生活は人生の夏休みやで?親が金出してくれるんやから、行かんと損やろ」
そういったモチベーションの学生が自主的に、主体的に大学で学ぶのは難しいと思います。
しかしそんな暗い面もありながら、やはり教育というのは人の人生に関わる。という点でとてもやりがいがあるとおっしゃっていました。
教員として、学生と一緒に何かを乗り越えて達成していく、時に学生が自ら自分の殻を破り、人生の舵をきって逞しく生きていくための機会を与えることができる…
そういったところに教育者としてのやりがいがあり、それが生きがいにもなる。とおっしゃっていました。
とにかく、読書をするよりも、映画を観るよりも、有意義な時間でした。
情熱と、使命感と、責任感。
同時に、問題点と改善点を模索する姿勢を持ちながら教育に携わっている人がいる。
そういった教育者同士が繋がることで、何かを変えていける気がしました。
飛行機は出会いの宝庫。
幸先の良いスタートとなりました!