【ドイツ】冬の始まりを告げる ドイツの伝統行事 聖マルティン祭
日本では聞きなれないこの「聖マルティン祭(St.Martinstag)」。
ドイツでは、とても大切にされている冬入り前の行事で、毎年、11月11日にドイツ各地で行われる。
子どもたちが思い思いにつくった色とりどりのランタンを片手に、
「♪Sankt Martin,Sankt Martin……」と歌いながら行進する姿が毎年の恒例。
今回、私も幼稚園のお祭りに参加してきたので、その様子をレポートします!
聖マルティン祭とは?
このお祭りは、もともとローマ時代にローマ軍の兵士であった聖マルティンが、
遠征中に寒さで凍える貧しい人に、自分の赤いマントを剣で切り裂いて与えたという伝説が元になっている。
その後、司教となったマルティンは人々から慕われ、ついには聖人になる。
聖マルティン祭は、そんな彼を祝うものなのだそう。
そんなお祭り当日、私たちは16時半にシュタイナー小学校に集合した。
今年は、幼稚園と小学校で合同で初めて開催をすることにしたのだそうで、
子供たちとその家族、合わせて100人ほどが一同に集まった。
まず、シュタイナー小学校の1~2年生の子供たちが、聖マルティンの伝説を寸劇をみせてくれた。
そこから、みなで外にでて、思い思いに作った手作りのランタンのろうそくに火を灯す。
そして、馬に乗った赤いマント姿のマルティンに扮した代表の男の子の後ろに列を作り、
「ランタンが道を練り歩き、明るく照らす。赤、黄色、緑、青のランタン、マルチンさん、さあ見に来て」という意味あいの歌をみんなで歌い、ランタンをもって1時間半ほど歩き続けた。
みんなでだんだんと暗くなる外の世界を、100個ちかくのランタンが温かく灯していく景色は、なんとも幻想的だ。
30分くらいかと思ってたので、思った以上の距離だったが、
みんなでおしゃべりしながら、私の子供たちもあっという間に歩ききってしまった。
締めくくりは焚火とプレッツェル
そして、歩き終えたら、大きな焚火が始まった。
焚火は以前、マルチンが善行によって貧しい人の生活に希望の光をもたらした、暗黒を照らし出す聖なる光を象徴しているそう。
その火で温まりながら、みんなでプレッツェルとキンダープンシュ(シナモンやクローブなど3種のスパイスがきいたノンアルコールドリンク)を愉しむ。
また、プレッツェルは、聖マルティンがマントを分け与えたように、家族で半分にして食べるように、と言われた。
疲れた身体と空腹が、心地よく満たされていく。
今では、このお祭りも、だいぶ簡略化されたり、ただ集まってランタンとプレッツェルを愉しむだけ、という幼稚園も少なくない。
そんな中、シュタイナー教育では、伝統的な行事を大切にするので、こういった分け合う行為をきちんと周知し、ランタンもろうそくを使うように事前に指示があった。
おかげで、ただのイベントごととしてとらえて終わりではなく、
ドイツの伝統行事をじっくりと知り、味わうことができた。
歩きながら歌っていた歌はこちら
Laternenlieder-Mix | Martinslieder-Mix – Kinderlieder zum Mitsingen | Sing Kinderlieder
ぜひ皆さんも聞いてみてください^^
税所 裕香子
Yukako Saisho
- 居住国 : ドイツ
- 居住都市 : ザールランド
- 居住年数 : 1年
- 子ども年齢 : 6歳、3歳、1歳
- 教育環境 : ワルドルフキンダーガルデン