《Special Report》無理せずにマイペースで〜家庭教育でのモンテッソーリ〜

こんにちは、はるです。

この記事を読んでくださっている方の中で、モンテッソーリ教育に興味はあるけれど、様々な理由でお子さまをモンテッソーリ園に通わせられないため、お家でモンテッソーリ教育に触れさせてみたいと思っている方がいるのではないでしょうか?

実は、この私も息子をモンテッソーリ園には通わせられませんでした。
私の教えていたモンテッソーリ園から、当時1歳だった息子を連れて来ても良いと言っていただいたのですが、そこはイタリア語と英語の二カ国語で保育を行っていて、息子は生まれた時から家で夫からイタリア語、私から日本語で話しかけられていたので、もう1つ言語を増やすのに抵抗があり、イタリア語のみの公立保育園(私が保育士として働いていた1年間)と公立幼稚園(3年間)へ通わせました。

息子の通った公立幼稚園は、実は昔はモンテッソーリ園だったようで、入口にモンテッソーリの「子どもの家」と書いてあり、そのなごりでかモンテッソーリ教具もほんの少しだけありました。先生は3人いて主任の先生だけモンテッソーリの講習を受けたとおっしゃっていましたが、一日中縦割りという訳ではなく、活動によって年齢別にグループ分けをして活動していました。

私が退職してから息子が幼稚園へ入園するまでは、息子は家で私と過ごしました。その期間と幼稚園時代、小学校低学年時代は、私が用意したモンテッソーリのお仕事を、時間のある時に息子に使わせていました。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、本物のモンテッソーリ教具はとても高額です。しかし、自分で創意工夫して用意することも充分可能です。
マントヴァには日本の様な何でもある便利な100円ショップなどはないので、とにかく、家にあるもの、比較的リーズナブルで、マントヴァで手に入るもので教具を用意していました。

ということで、ご家庭でもできるモンテッソーリアクティビティをいくつかご紹介したいと思います。

日常生活の練習

日常生活の練習のアクティビティは、家で簡単に準備できるお仕事がたくさんあります。お母さんのお手伝いが好きな子になれるのではと思います。

我が家では、息子がお水を飲みたい時に自分でそそげるように、食事の時にお水を小さめのピッチャーに入れて、テーブルに置いておきました。最初は私が注ぎ方を見せてから息子にやらせましたが、まだその当時は幼かったので、もちろんお水をこぼしてしまう時もありました。なので濡れても良いようにプラスチック製のランチョンマットを敷いて、小さなハンドタオルも一緒に用意しておきました。お水がこぼれたら、息子に自分で拭かせていました。

料理のお手伝いはとても喜んでしてくれていました。最初は、バナナを縦半分に切って、それを食事用のナイフで切らせましたナイフを振り回すと危険なこと、指を切らないように気をつけることなども知らせて、注意してあげてください)。大きさがバラバラでも問題なしです!
段々と慣れてくると、縦半分に切ったキュウリも切れるようになりました。それ以外にも、にんじんやジャガイモの皮むき、食器すすぎ、テーブルセッティング、お菓子作りの時に材料をそそぐ、混ぜる、クッキー型をぬく、など色々と手伝ってくれました。
食後は、自分の食器を流しまで運んだり、息子用に小さなほうきとちり取りのセットを買って、食べ終わった後のパンくずなどの片付けもしていました。

ハロウィーンの Jack-o-lantern 作りも、手先を使ってお玉やスプーンでカボチャの中身をすくい出すので、日常生活の練習のお仕事になります。元職場でアメリカ人やカナダ人の先生達が作っているのを見ただけで自分で作ったことはなかったのですが、実際にやってみると思っていたよりも意外と簡単でした。すくった中身は捨てずに、息子と一緒に種を取り出して、水洗いして、ローストして食べました。

息子は、食べることが大好きなので(笑、料理を作ることにも興味があるらしく、未だに色々と手伝ってくれます。
食べることで思い出すのが、私が父から子どもの頃にいつも言われていたことです。それは、新しい食べ物を食べる時に「嫌いだったら食べずに出して良いから味見だけしてごらん」でした。子ども心に安心して、味見してみようという気持ちになれたことを覚えています。息子にも同じ様にしたお陰で、息子は好き嫌いがほとんどありません。

話は戻り、息子のお手伝い担当は、家でピザを作る時のトッピングの食材を切ること。大好物の餃子を作る時は、皮に具を乗せて、皮の周りに水をつけること(皮から作る時は、型抜きも)。秋の季節は、焼き栗をよくするので、栗専用のカッターで鬼皮に割れ目を入れることなどなど。
テーブルセッティングや後片付け、たまには食べ終わった後の食器洗いもしてくれます。本当に大助かりです!

感覚教育

息子が赤ちゃんでまだ歩けなかった頃、音の鳴るものや、ペットボトルに興味があったので、ペットボトルに家にあったお米、豆、小さなパスタなど種類の違うものをそれぞれ入れて、音が鳴るようにして遊ばせていました。音の違いを聞き分ける雑音筒のお仕事に似ています。

また、フードカラーで着色した色水(赤、青、黄色)をペットボトルに入れて、転がしたり、振ってみたり、光にかざして見たりしても遊ばせていました。
注意)蓋は念のためテープで固定しましたが、万が一ペットボトルが壊れたり、蓋が開いてしまった場合に、フードカラーの水は飲んでも大丈夫ですが、豆、パスタ等の誤飲は窒息の可能性もあるので、出来るだけ小さい物を選び、必ず大人が目を離さずに気をつけて遊ばせてください。

蓋付きの小さな調味料入れの瓶を買って、その中にアロマオイル、バニラエッセンス、コーヒーなどをしみ込ませたコットンを入れて、嗅覚のお仕事の真似ごともしました。

息子は幼かった頃から、絵の具やフィンガーペイントで遊ぶのが好きでした。
初めは1色ずつ。その後からは、2色使って、色を混ぜて、
赤+青=紫
青+黄色=緑
赤+黄色=オレンジ色
赤+白=ピンク
黒+白=灰色
青+白=水色
緑+白=黄緑色
最後には、たくさんの色を混ぜると黒になることを知りました。

息子は今も絵を描くことと塗り絵が好きです。自分のお気に入りの恐竜や動物、アクションヒーローに色を塗ったり描いたり、自分で考えたロボットや乗り物も描いたりします。
又、自分の持っている物を模写するのもとても得意です。これは細かい所までものすごく良く見て描いていて親ながら驚かされます!現在、新型コロナウィルスの影響で、在籍児童数の多い息子の中学では、各クラス週に2回のみ休み時間に外へ出られるのですが、それ以外の日の休み時間は、家から持って行った手帳に自分の席に座って絵を描いているみたいです。

算数教育

算数の基礎で大事なのは、何と言っても数の「量」を理解することだと私は思っています。「量」が分かることにより、足し算、かけ算、引き算、割り算の計算が理解しやすくなるからです。

まず、私が初めに用意したものは、数字のマグネットとおはじきサイズのガラスの玉です。これらを使って、数字と同じ数のおはじきを置いたり、逆におはじきを数えて同じ数の数字を置いたりしました。数字と玉の教具のお仕事です。

息子が小学校へ入学して、繰り上がりの足し算や繰り下がりの引き算を良く理解させる為に、十進法の教具、金ビーズの替わりに木製の算数知育玩具を買って、数字のカードはモンテッソーリ無料教材のサイトから印刷して、ラミネートしました。

これのお陰で下の様な10の構成も理解出来ました。
0+10=10
1+9=10
2+8=10
3+7=10
4+6=10
5+5=10

私は子どもの頃、数の量をよく理解していなかった為、計算や暗算が苦手だったのですが、息子は算数の計算が得意になりました。私も大人になってモンテッソーリメソッドを勉強してから、数の量をさっと頭に浮かべられるようになったような気がします。

言語教育-日本語-

息子がまだ言語に興味を持つ前から、お昼寝と夜寝る前の日本語の絵本の読み聞かせは、毎日続けていました。そして、息子が2歳のクリスマスにはミニキッチンを購入して、おままごと用の木製の野菜や果物を一緒に置いて、食べ物の名前なども知らせていました。
その後、成長して行くに連れて、書く、読むのお仕事を用意しました。

モンテッソーリの他の分野のお仕事をすることによって、文字を書くための準備(親指、人差し指、中指を使って物を摘むお仕事を通してのえんぴつの持ち方の準備、手首の動き、目と手の協応など)はある程度してきていました。
その上でまずは、指やえんぴつで、線や文字を「なぞる」お仕事から始めました。これらもインターネットで無料で使える教材がたくさんあるので、印刷して使いました。息子は、数字や五十音順に点を繋ぐと最後には何かが出来上がるという物が好きでした。

書き方の練習は、モンテッソーリ以外でも色々な教材が売られていますが、何度も書き直せて、繰り返し使える方が良いですよね?
特に海外在住だと、日本の教材は簡単に手に入りません。
そんな方々への私のおすすめは2つ。

1つめは、メタルインセッツ(鉄製はめ込みの教具)位の大きさの四角い箱の中に、手芸やクラフト用の砂を入れて、指や棒でお手本を見ながら書くという物。
書いた後は、定規の様な形状の物で砂を平らに均せば又書けます。これは、砂をこぼさない様に注意するという練習にもなります。もしこぼしてしまったら、自分でほうきとちり取りでお掃除もします。

2つめは、大きめの平らな石やレンガの様な素材の物などに筆に水をつけて、お手本を見ながら書くという物。
水が乾けば又書けます。これも水が足りなくなったら、自分で新しく入れに行ったり、水をこぼしてしまったら、自分で台拭きで拭きます。
様々な分野の目的やお仕事と繋がっています。

そして読み方では、言語教育の教具の移動五十音カードの代わりに、印刷したひらがなとカタカナを切って、自分でラミネートして作りました。それを息子と一緒に五十音通り並べて読んだり、実物や絵カードと一緒にその単語を作って読んだりしました。その他には母から送って貰ったカルタやひらがなとカタカナのパズル、インターネットで購入したカレンダー(月、曜日、日にち、天気)なども使って補足しました。

イタリアで生まれた息子ですが、幼い頃は私と日本語だけで過ごす時間が長かったので、イタリア語よりも日本語の方がより理解していた様な気がします。
しかしイタリアに住んで、ここの教育施設に通い始めてからは、当たり前ですが先生とも友達とも、全てイタリア語でコミュニケーションを取らなければなりません。なので彼の母国語はイタリア語だと思っています。

そして、マントヴァには残念ながら日本語補習校も無く、イタリアの学校は予想外にも宿題がたくさん出るので、家庭での日本語学習はあくまでも無理せずにというスタンスで続けています。
現在は、漢字ドリルを1日1ページしていますが、テスト前や宿題が多い日は、イタリアの学校を優先して日本語学習はお休みする時もあります。

私の子育ての考え方

モンテッソーリメソッドでは、教具の使い方を子どもに提示した後、教師は子どもに「やってみる?」と尋ねます。そして、子どもが「やる」と言えばやらせますが、もし子どもが「やらない」と言った場合は教師は無理強いせず、片付け方を見せて終わりにします。(教具や年齢によっては一緒に片付けたりもします)

基本的にお母さん達は、家事、育児、そしてお仕事をしているお母さん達は更にお仕事も!毎日1日中やることがいっぱいです!なので、お家でも「やらなければ!」と焦る必要はなく、お母さんの時間に余裕のある時に、リラックスしてお子さんと一緒に楽しんでモンテッソーリのお仕事に取り組めば良いのではと思います。

子ども達が大きくなって小学校、中学校へ通うようになると、宿題、テスト勉強、塾、習い事などを優先しなければならない状況がどんどん増えて行きます。そんな今の子ども達を取り巻く環境を考えると、子ども達が幼いうちは、危ないこと、社会のルール、善悪などを教えつつも、やりたいことを優先してできる貴重な時期です。

幼いうちは未知なことがたくさんあって、挑戦して、失敗してを繰り返して様々なことを学んでいきます。
子ども達が、失敗することを恐れずにやってみよう!と思える様にしてあげることが、親として大人として大切なのではと思います。失敗しても大丈夫!やり直せる!と感じると子どもは安心して物事に挑戦できると思うのです。
そして、中学生の息子と私が今でも続けていることは、「だいすき!」とぎゅーっとハグすることです。イライラしている時など気持ちがスッとおさまります。

私はモンテッソーリメソッドに出会えて良かったなと思っています。しかしモンテッソーリメソッドだけが子どもの教育の唯一の答えだと思う必要はないと思います。世の中には様々な教育法があって、異なる教育観念を持っている人達がいるのが当たり。そんな中、お母様お父様が常にオープンマインドで、良いなと思うものを試してみれば良いのではないかなと感じます。

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