【オランダ】保護者が引率、オランダの遠足
先日、娘が遠足へと出かけました。
…と言っても、その日は水曜日。昼までの授業の日です。
遠足があることは、アプリのカレンダーで知ってはいたのですが、
詳細などは1週間を切っても全く分からず…
「何か用意するものはないのかな」
「特別に買っておかないといけないものはあるかな…」
と気になっていました。
そして、遠足の5日の前にアプリで詳細が知らされました。
どうやら、遠足の日には農家のストライキが起きるとかなんとか…
ストライキやデモなどは、ハーグで行われることが多いです。(行政のある都市なので)
実は今、オランダでは農家のストライキが頻発しています。
彼らが何をするのかというと、トラクターで集結して抗議をするのです。
「え?トラクターで集合…苦笑」
と、私も最初は想像して少し笑ってしまったのですが。
本当に、トラクターに乗った多くの農業従事者たちが集まっていました。
家の前を大量のトラクターが通るという異常な状態が続きました。
ことの発端は、地球温暖化の原因の一つは農家にある…という指摘からだそうです。
すごくざっくりと書いてしまっていますが、家畜が出す”屁”が温室効果ガスの原因の一つである。という見解に続き、農家の縮小を議会が提案し、農家が怒りを覚えた…という感じです。
オランダ農家、トラクター行進で気候対策に抗議 「史上最大」の渋滞発生
…とにかく、そういうこともあって、娘の遠足の場所はストライキの影響を受けない場所へと変更されました。
しかも、驚くことに娘たちの遠足は保護者の車で行くそうで。
「遠足の日に車を出してくれる保護者の人は申し出てくださーい」
とのこと。(しかも5日前)
…え?!!!?保護者が遠足に連れていくの?!?!??!?!
と、元教育者の私としては「ありえない」という展開なわけですが。
「事故を起こしたら誰が責任とるの?」
というような疑問も生まれることなく、オランダの遠足は保護者の車が移動手段です。笑
これはオランダに住む人なら一度は経験することだそうで。
日本人保護者の人も車を出したことがある人がそこそこいるようです。
ちなみに、車を出すだけではなく、引率もします。笑
「めっちゃ保護者使うやん!爆」と思ってしまったのですが。←
でも、割り切ってみればそれも子どもたちにとって楽しいことの一部。
自分が子どもで、親が遠足の引率に来てくれたらちょっとテンションが上がります。
総勢30名程の生徒がいる娘の学年ですが、おおよそ4~5名くらいの生徒に対して保護者が1名。という感じで引率してもらったようです。
無論、うちは車を所有していないので最初から引率は無理な訳ですが。
車を所有している、且つ専業主婦/主夫か、仕事を休める人が引率へ行く訳です。
この保護者の学校行事におけるボランティア協力は結構人気があるようで。
協力する機会を楽しみにしている保護者も多いのだとか。
同じクラスのママはフルタイムで働いていますが、
「あの連絡もうちょっと早かったらシフトで都合つけられたのに!!!」
と言っていました。
…そう、とにかく連絡が直前なのです。笑
フレキシブルに動ける人勝ち!みたいな感じです。
ただ、そうやって仕事の都合をつけられる人が多いのも事実…すごいなぁ。と驚くばかり。
さて、遠足は…というと、特に特別な場所に行った訳でははなく。
公園に出かけたようです。
公園と言っても遊具があるような公園ではなく、自然がいっぱいの公園です。
オランダ語では”bos”と言って、池があったり、木が生い茂っていたり、自転車コースがあったり…というのような場所です。林の散歩コースという感じでしょうか。
そこへみんなでスナックの入ったバックパックを背負って行き、
シートを広げてスナックを食べ、小枝だの、どんぐりだの、綺麗な葉っぱだのを見つけ、石を池に投げ入れてみたり、倒木の裏にいる虫を観察してみたり…
そういった”遠足”です。
よって、場所も学校から遠くはありません。車で10分ほどです。
バスを出すほどでもないし、歩くには遠すぎる、公共交通機関を使うと意外と不便。
そんなところからの”保護者の車”なのかもしれません。
娘は帰宅して、その日に拾ってくれた様々なお土産を見せてくれました。
秋のお土産はどれも可愛かったので、さっそくラミネートしてみることに。
「◯◯のママの車で行ったんやで~」
と言う娘。人の家の車に乗るのって楽しいですよね。
前述した通り、日本なら、
「何かあった場合、誰が責任をとるんですか」
という議論になってしまいそうですが。
「そんなこと言ってたら何もできないじゃない」
と、言ってしまうのがオランダ文化なのかもしれません。
あっさりしているというか、本質を得ているというか。
引率する保護者だって子どもたちを連れて行くのには多少気を使うと思います。
だから、その日を教育活動に捧げようとしてくれた保護者に対しての感謝だって大切。
また、何かあった時のことを考えて行動しないままでは、子どもたちにとって大切な経験をさせてやれないことになってしまう。
……それでは教育の本質が見失われてしまう。
そういうことなのかもしれません。
とにかく、連れて行ってくれた保護者にも感謝。
そして、そういう機会を設けてくれた学校にも感謝。
家に帰って誇らしげにどんぐりを見せてくれた娘は、多くの人の協力のもと”秋の日の遠足”をしっかり楽しめたんだなぁ。と、思うのでした。