
【ドイツ】日本の当たり前がなかった!「ドイツ小学校」の入学リアル
こんにちは!ドイツに子ども3人連れて移住したゆかこです。
さて、「小学校の入学式」と聞いて、皆さんはどんな場面を思い浮かべますか?
日本なら、真新しいランドセルを背負った子ども、桜並木を背景に記念撮影、体育館に整然と並んだ椅子、壇上には「入学式」の看板。
お父さんはスーツにネクタイ、お母さんはセレモニースーツやワンピース。ピカピカに整ったフォーマルな雰囲気。
——まさに、春の一大イベントですよね。
ところが!私がドイツで体験した息子の入学式は、そのイメージとあまりにもかけ離れていて衝撃の連続。
思わず「えっ、これでいいの!?」と心の中でツッコミを入れっぱなしでした。今日はその“ドイツ式入学リアル”をお届けします。
服装からすでにカルチャーショック
会場に向かうと、まず目に飛び込んできたのは親子の服装。
日本なら「セレモニーだから」と少し背筋が伸びるような格好をするのが当たり前。
でも、事前に友人に聞いたら、普段着でOKとのこと。
とはいえ、「せっかくの入学式だし…」とちょっとフォーマルな格好で行ったのですが、周りを見渡して驚き!
お父さんはTシャツに短パン、お母さんも普段着のジーンズ、そして子どもたちもカラフルなTシャツ姿。
(もちろんワンピースだったりはいるけれど、フォーマルスーツの人はほぼ皆無。)
もう完全に「日曜日の公園スタイル」です。
式典というより、近所の集まり。日本式フォーマルを想像していた私は拍子抜けしつつも、「あ、こういう空気感なんだ」とすぐに納得しました。
座席は足りなくても気にしない
次の衝撃は会場に入ってから。
体育館のようなスペースに椅子が並んでいるのですが、どう見ても人数分がない!
結果、保護者の半分くらいは立ち見状態。
日本だったら「全員分準備して当然」と思うところですが、ここでは誰も文句を言いません。
「まあ立っていればいいよね」という感じで笑いながら談笑している親たち。徹底した“ゆるさ”に、もう一度カルチャーショック。
校長先生の話は事務連絡多め
いよいよ式が始まると、校長先生が登場。
お祝いの言葉が長々と続くのかと思いきや、話の大半は「持ち物はこうしてください」「時間はこのルールで」「給食は…」といった事務連絡。
おめでたいムードは控えめで、実用性重視。
親も子供もそわそわ、おしゃべりされてても気にしない。
お祝いよりも「生活のスタート」に重点が置かれているのが印象的でした。
唯一の“華やぎ”は2年生の歌
そんな中で、ほっと心が温かくなる瞬間もありました。それは在校生である2年生たちが登場して歌を披露してくれた時。
日本の合唱のように完璧に揃ったハーモニーではありません。
ちょっとバラバラで、でも一生懸命で、子どもたちが歌うその姿に会場が和みました。
華やかな演出がほとんどない分、この歌の時間は本当に貴重で、胸に残りました。
「入学式」の看板なんて存在しない
それから日本では「入学式」と大きく書かれた看板の前で記念撮影をするのが定番ですが、ドイツにはそんなものは一切ありません。
校門に看板もなく、飾りもなく、写真を撮る親たちは好きなところでパシャリ。ちょっとしたかわいらしいフォトブースがあって、みんなそこで写真をとってました。
「式典の象徴」がなくても、誰も困らないし、不満も言わない。ここでも“実用主義”が光ります。

入学初日から授業スタート
さらに驚いたのは、式が終わるとそのまま新1年生たちは教室へ移動し、いきなり授業が始まったこと!
日本なら数日間はオリエンテーションや慣らし保育のような日程が続くのが普通。
でもドイツは「今日からもう生徒。さあ始めよう」という潔さ。
子どもたちもワクワクしながら先生に連れられていきました。
その切り替えの早さには驚きつつも、「確かに合理的だな」と感心しました。
親はティーパーティでひと休み
さて、子どもたちが授業を受けている間、保護者はどうしていたかというと…なんとティーパーティ!
学校のホールには保護者やPTAが用意した手作りケーキがずらりと並び、
1切れ1ユーロで販売されています。(有料(笑))
「えっ、式の日にこんなカジュアルにケーキ食べるの?」とびっくりしましたが、これがまた美味しい。
保護者同士の交流の場にもなっていて、初めて会う親たちと「どこの幼稚園出身?」なんて話をしながらケーキを頬張りました。
日本の「きっちり式典」とは正反対の、ゆるくて温かい時間でした。
主役アイテム・シューレトゥーテ
そして忘れてはいけないのが、ドイツ入学式最大の主役アイテム「シューレトゥーテ」。
大きな円すい形の袋にお菓子をいっぱい詰め込んだもので、子どもにとっては一生の思い出。
子供たちが抱えて歩くのに必死なほどの大きさで、
各々の工夫を凝らしてキラキラの紙で飾られ、リボンで華やかに包まれていました。
最近は年々サイズも派手さも増していて、もはや「どれだけ豪華にするか」という競争気味な側面も。
それでも子どもたちが誇らしげに抱えている姿は本当に可愛らしく、写真を撮る親たちの目がデレデレなのも納得です。
まとめ:日本の常識は世界の非常識!?
こうして一日を振り返ると、日本で思い描いていた「入学式」とは本当に真逆でした。
フォーマル感ゼロ、看板もなければ座席も足りない。
でもその分、子どもたちはリラックスした雰囲気の中で学校生活をスタートできる。
式典の華やかさを大切にする日本も素敵ですが、
ドイツの「日常の延長線上での入学」もまた魅力的だと感じました。
息子が大きなシューレトゥーテを抱えて嬉しそうに教室へ向かう姿を見て、「ああ、これがドイツ流のお祝いなんだ」としみじみ実感。
日本の当たり前は世界の当たり前ではない。
その違いに出会うたび、子育ての中で新しい視点をもらえるのが、海外生活の醍醐味なのかもしれません。

税所 裕香子
Yukako Saisho
- 居住国 : ドイツ
- 居住都市 : ザールランド
- 居住年数 : 1年
- 子ども年齢 : 6歳、3歳、1歳
- 教育環境 : ワルドルフキンダーガルデン


