
【ニュージーランド】Playcentre (プレイセンター)というところ
先日友人が、プレイセンターのlifetime membershipを受けたので、そのお祝いの会に行ってきました。
プレイセンターとは、ニュージーランド独特の幼児教育機関です。
ニュージーランドには、幼稚園や保育園の他に、自宅に少人数の幼児を受け入れるようなHome basedと呼ばれるものや、先生はおらず親が主体となって教育を行うプレイセンターなどがあります。
息子は8か月頃からBabys Can Playと呼ばれるプレイセンターの乳児版のようなものに通っており、18か月頃まで通いました。15か月頃からは同時にPlaycentreにも通い始め、5歳になる直前まで、3年半通いました。
Babys Can Playは新生児から乳児しか通えず、1歳を超える子供が多くなるとその組は解散され、また生まれたばかりの子が集まったクラスが開始されます。
一方、Playcentreは新生児から6歳になるまで通うことができます。ニュージーランドでは6歳の誕生日から義務教育が開始されますので、それまでは通うことができますが、5歳の誕生日から小学校に通えるので、5歳になると卒業していく子が多いです。
Babys Can PlayにもPlaycentreにも、どちらもいわゆる先生はおらず、Facilitatorがサポートしてくれ、親、または保護者(祖父母など)と子供で参加します。
何をするかというと、Babys Can Play(BCP)では赤ちゃんはまだ小さいので、それぞれの遊びを見守ったり、子育ての悩みを聞いてくれたり、成長の過程を教えてくれたりと、母親のサポートを主にしてくれます。Facilitatorの方は、その場その場に合わせて時間を組み立ててくれて、ぐずる子供が多ければ歌の時間を設けたり、遊びの見守り方のヒントをくれたり、話を聞いてくれた後は勇気づけてくれたり、毎回写真を撮ってくれて、それを配ってくれたり。この時期はなかなか外へ出る機会も少ないので、週に一度、このような時間があることは楽しみにもなりますし、ほかの親の悩みを聞くことで、うちも同じだな、と安心したり、友達ができたり、新米母なのに数か月後に生まれた子の親の悩みに答えられたりして、母親としてちょっと自信が持てたりと、良いことばかりです。
BCPはPlaycentreの赤ちゃん版のようなものなので、Playcentreと同じように子供に接します。赤ちゃんは当然思い思いのことをしていますが、みんなでそれを見守り、その子らしさを見つけていく、といった感じです。
例えば、赤ちゃんが手を伸ばしておもちゃを取ろうとしているとき、親はただ見守るだけだと教わりますし、子供のやりたい事をとことんやらせてあげるために、いつも汚れてもいい服で来て、着替えを持ってくるように教わります。赤ちゃんが手を伸ばしているとき、脳細胞から抹消神経まで、自分で体を動かしてたくさんのことを習得しようとしているのに、親がそのおもちゃを動かして手のそばまで持ってきてしまうことは子供の成長機会を、服が汚れるからと泥遊びや水遊びをやらせないのは、子供が五感に刺激を受ける機会を奪っているのかもしれないのだと教わります。
一方Playcentreでは、子供の年齢の幅が広いので、遊びの種類も変わってきますが、すべての子供が一緒に遊ぶ、いわゆる異年齢保育(縦割り保育)です。ちなみに、ニュージーランドではどこの幼児教育機関へ行っても、乳児クラスはあっても、幼児からは規模が小さいからか、みんなで一つのクラス、が基本です。私の息子が行っていた幼稚園は、全体で25人から30人の子供がいて、先生が4−5人、室内と屋内に分かれて面倒を見ていました。こういうところにも、多様性を自然と学べる環境が整っていると感じます。
プレイセンターでは、親が主体ですので、朝みんなで朝礼をします。今日子供がやりたいと言っていたことや、前回の続きの話など、今日のセッションをどのように進めていくのかを5分くらいで話し合い、すぐにセッションへ移ります。こういうことに時間をかけすぎないのもニュージーランド流です。今は子供が遊ぶ時間なのだからと、それを最大限に実現しようとします。
よくある遊びは、Play dough(小麦粉粘土)や水遊び、料理などです。どれもやりたい子がやりたいときに参加できるように親はセッティングをします。このセッティングの仕方なども、プレイセンターでは講習をしてくれます。それに参加すると、よりプレイセンターの理念を理解したうえで、セッション中に振舞えるようになります。
また、幼児教育で最も重要なのがTe Whariki(テファリキ)の存在です。これはニュージーランド独自の幼児教育指針で、教育に携わっている人なら一度は聞いたことのある、有名なものです。あの、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育と並んで世界で評価されている教育方法で、これをプレイセンターでも実践することによって、ただ集まって遊ぶだけのプレイグループではなく、保育士などがいる専門の教育機関と同じような、また親が参加することで子供にとってはより安心できる場所を提供することができるのです。
参加している親もプレイセンターから無料で教育を受けることができ、プレイセンターの理念やテファリキの実践の仕方、また子供にとって安全な場所をどのように提供するかや、他の子供とのかかわり方や声のかけ方などを学び、皆でその知識の元、運営していきます。
プレイセンターのすごいところは、子供にとっては親が一番の教育者と考え、親に幼児教育の知識を与え、運営する権限を与え、かつそれが国に他の幼児教育機関と同じように認められ保証され運営費が与えられているということです。このような場所は世界的に見ても他になく、子供にとっても親にとっても最高の場所だと私は思っています。知識、友達、経験、家族(Whanau)、援助、協力、自信、繋がり、存在意義など、プレイセンターに参加することで得られるものは計り知れません。
先日、Lifetime membershipが与えられたメンバーは、なんと14年にもわたりプレイセンターに参加してきた人です。子供は3人ですが、3人目が上2人と少し離れていたため、3人目が5歳になったときには、14年もの月日が経っていたとのことです。その間、彼女は通っていたプレイセンターの代表を何年か務め、それ以外の役職にも貢献し、いつも新しい遊びを提供してくれ、子供からとても人気のある人でした。親からももちろん信頼され、遊びや子供とのかかわり方など、学ばせてもらうことがとても多かった人です。
プレイセンターとは、こんな風に、一度関わると抜け出せない、何とも言えない魅力がある場所なのです。

水野 宏美
Hiromi Mizuno
- 居住国 : ニュージーランド
- 居住都市 : クライストチャーチ
- 居住年数 : 15年
- 子ども年齢 : 6歳
- 教育環境 : 現地公立小学校


