【ドイツ】「幼児の力」を甦らせるシュタイナーの”親”教育 〜その3〜
〜その2はこちらから〜
親子ともに「幼児の力」を高めるシュタイナー教育
このように、シュタイナー幼稚園では、
幼稚園という場所は、
「ただ子供を預かる場所」というよりも「親も子も成長する場所」である、と
捉えているように思う。
シュタイナーは、「子供であることを一生涯失わせないこと」を教育の理想とした、ともいわれている。
※参照:シュタイナー教育入門(高橋巌)
シュタイナーによると、この子供特有の、創造の世界で遊べる「幼児の力」は、
生まれてから7歳まで、子供の中で生き生きと目覚め働くのだが、
歯が生え変わる7歳以降になると、だんだん眠ってしまうという。
さらに、14歳になるころには、幼児の力が自分のなかで働いていたなんて、
とても考えられないといったくらいになってしまうのだそう。
では、どうやって「幼児の力」を維持させられるのか。
それは、「無意識の教育」をしていくことで、可能だという。
どういうことかというと、例えば、日本の「茶道」をイメージしてもらいたい。
茶道は、とにかく同じ作法を、ひたすら練習しつづける。
ただただ、その瞬間に集中し、心とからだに刻み込まれ、無意識化で動けるような状態になるまで、
お稽古をやり続けて習得する。
茶道で師範をとることになったとしても、
決して、ペーパーテストのように、紙に書いて試験をすることはないだろう。
同じく、シュタイナー教育は
とにかく「身体」の能力を引き出すことを14歳まで最優先にし、
「頭」だけの知的教育はなるべく遠ざけるようにする。
なぜなら「テストに向けて、ただただ覚える」行為は
「意識の教育」となり、最も幼児性を失わせるものだと考えるからである。
シュタイナー幼稚園でも、同じ生活リズム、繰り返す作業での教育を非常に重んじている。
この日々の過ごし方は、このシュタイナーの考えからきていたものなのだと、
シュタイナー教育入門(高橋巌:著書)を読んでとても納得した。
私がシュタイナーに惹かれる原点
私自身は、小学校・中学校と、週5で習い事や塾にいっていた。
成績はよく、皆から認められる地位的なものは、確かに手に入れていた。
だけれども、なにがほしいかといわれたら、
「自信がほしい」と思っていたことを、今も覚えている。
つねに成績が上位でないと、「不安」がよぎった。
また、美術や図工などに、苦手意識があった。
なんでだろう、と思うと、今思えば、美術や図工は、
自分の思うままの作品を作る必要があるから「正解がない」。
そういった、正解がないものに、不安があったし、自信がなかったんだと思う。
意識の教育を思いっきり受けた私は、
「無意識の教育」をほどこす「シュタイナー教育」に今、惹かれる理由がこのエルタンアーベントでなんだかわかったように思った。
子供たちは、創造の世界で、踊り、歌い、思いっきり自由に遊ぶ。
私たち両親も、「幼児の力」をよみがえらせることが、純粋に今、楽しいのだ。
税所 裕香子
Yukako Saisho
- 居住国 : ドイツ
- 居住都市 : ザールランド
- 居住年数 : 1年
- 子ども年齢 : 6歳、3歳、1歳
- 教育環境 : ワルドルフキンダーガルデン