【タイ】10歳の挑戦〜その1〜

みなさん、サワディーカー!
今回はこの夏に経験した、息子の10歳の挑戦の一つ目をご紹介します。

その前に、少し私の話をさせてください。

小学生だった私の記憶に、大きな衝撃を残した話があります。
10歳の夏休み、同じクラスの男の子が一人でアメリカに住むおばさんのところに行ったと聞いたのです。

「10歳の子が、一人でアメリカに行ける、、、?」そんなことが起こり得るのか。当時おそらくその子は英語も話せなかったと思います。それでも子どもが一人でアメリカに行くことができる、それは一体どういうことなんだろう。

この事は子どもながら、私の心に大きな影響を与えました。

私自身は16歳の春休みにオーストラリアから一人で日本まで帰ってくるという経験をしました。初めての海外旅行だったのですが、一緒に旅行に行った姉は仕事があり一足先に帰ってしまったのです。

オーストラリアのアデレードからシドニーで乗り換えをして、日本に帰ってくるというプランでした。 当時の私は英語も全然話せなくて、飛行機の乗り換えをするなんて不安でずっと緊張していましたが、先に帰った姉が乗り換えの手順や道順を写真に撮って後から教えてくれたので、どうにか帰って来られたのだと思います。
そしてその2年後には1 年の留学をして自信をつけた私は20歳で一人海外旅行デビューを果たします。

今となれば、親はよく初海外旅行の16歳の娘に一人で帰ってくるなんて挑戦をさせたと思うのですが、このちょっと特別な経験は、私の武勇伝のように感じています。

さて時を経て、 今度は私が親として子どもにいつかこの少しチャレンジングな経験をさせてあげたいと思うようになりました。

コロナ渦による規制が緩和した昨年の夏、 最後に日本に行ったのは幼稚園児だった息子は9歳になり日本に行くまでの順路を自分でスタスタ進めるようになっていました。
この時はたまたまお友達母子も一緒の便で帰国だったこともあり、わいわいしながらどんどん先をゆくその様子をみて、「あれ?これはそろそろあの経験をする時期がきているのではないか」と感じました。なんせ機内ではヘッドフォンをしてひたすらゲームをするか映画を観るか、そしてその合間に食事をし、あっという間に日本に到着したのですから。

この夏の一時帰国の予定を考え始めた時、10歳の記念になるような経験をプレゼントしたい、初めて一人の日本行きデビューは絶対に今だ!と思ったので、「ねぇ、今年は日本に一人で先に行ってみない?」と言うと、「え、、うん!行く!」と目を輝かせ二つ返事で了解を得ました。羽田空港へのお迎えと日本滞在を義父母にお願いをすると、こちらも二つ返事でOK。

実際には、息子が先に行って後ほど私たちと合流するのか、または一緒に行って、私たちが先に帰るのが良いか、時期と日本でお世話になる義実家との予定で検討しました。正直、日本から一人で乗せてもらう方が何かと安心ではあったのですが、妹の幼稚園の行事の都合もあり往路を一人で行ってもらうことにしました。本人はどちらでもよかったみたいです。

今回は、お世話になる全日空での、「ANAジュニアパイロット」という5歳以上12歳未満の子どもの一人旅のサポートをしていただけるサービス*に申し込みました。

決定してから人に話すと、びっくりされたり、そんなこと考えたこともなかったと言われたり、息子の反応はどうだったか聞かれたり、様々な反応がありました。
タイ人の方々には驚かれるリアクションが多かったです。子ども同士も「自分もそんな体験してみたいけど、ママが許すわけない…」と言う子もいました。

その中でも衝撃だったのは、息子の学校の先生が、「私も小さい時から姉とよく二人で飛行機に乗っていたけど、一度7歳の時にロシアの空港で降ろされてしまって空港で一夜を明かしたの。当時のロシアには英語が話せる人がいなくて本当に困ったわ。あなたは乗り換えもないし、英語も日本語も話せるから大丈夫ね!」と言っていました。そのスケールの違いすぎる話を聞いた後では、バンコク−羽田間なんて、なんて事ないのではないかとその場にいた全員が思った事でしょう。笑

さて、ついにその日がやってきました。

朝の便だったので、妹も一緒に空港に送りに行きチェックインを済ませて、必要事項を私が規定の用紙に記入すると、「搭乗時間の1時間前にまたチェックインカウンターに来てね、優先ルートで行くからね」と言われました。
空港で別れを惜しむかのごとく待ち時間を経て、再度カウンターに行くと、付き添いしてくださる航空会社の職員の方と合流し、優先口よりあっさりと行ってしまいました。ハグも恥ずかしいからとさせてくれないし、全然振り返ってもくれないし、ちょいちょいっと手を振るだけで、あっという間に見えなくなってしまいました。

なんだか拍子抜けで呆気ないお別れでした。
10歳の男の子、家ではまだまだ甘えてくれるけど、外ではそんなもんか。

娘を幼稚園に送る途中、息子からLINEがきました。
「Switchの見守り設定解除お願いします。早く!飛行機で遊べなくなっちゃう。」

あぁ、なんだなんだ、私が思うよりずっと逞しく育っているんだな。

機内では、ビジネスクラスの座席に体験で座らせてもらったり、機長の粋な計らいで機内から富士山が綺麗に見えるように飛んでくれて写真を撮れたり、CAさんたちが優しく気にかけてくれ記念写真を撮ったり、 CAさん方からは、私たち親に向けて機内の息子の様子を書いた寄せ書きを持たせてくれました。息子は大変快適な空の旅を過ごしたようでした。

* 「ANAジュニアパイロット」利用の場合、大人料金となり、チケットの予約は電話のみでした。また発着地により条件が違います。詳細は各航空会社へお問い合わせください。

fumi

fumi

  • 居住国 : タイ
  • 居住都市 : バンコク
  • 居住年数 : 10年
  • 子ども年齢 : 10歳、4歳
  • 教育環境 : インターナショナルスクール

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