【タイ】10歳の挑戦 〜その2〜

みなさん、サワディーカー!

今回はこの夏に経験した、息子の10歳の挑戦の二つ目をご紹介します。

日本への一時帰国というと「体験入学」がメジャーですね。
しかし、誰もが「体験入学」ができる状況や環境にあるとは限りません。ご家庭によってその目的や得られるものは異なるでしょうが、それぞれの意義を検討し、「体験入学」以外の選択肢も探してみたら新しい経験ができました。

インター生の夏休みの一時帰国といえば、多くの方が挑戦する「体験入学」。
実は、「体験入学」は 、それぞれの自治体や学校、教育委員会によって受け入れの条件や手続きの方法が異なり、条件が揃わない人には簡単に行えることではありません。

実家に滞在しながら親のどちらかの卒業校だったり、家に泊めてもらえる親戚がいて通ったりするのが王道の「体験入学」かな、と思いますが、我が家の場合は実家が転居済み、私の親の家に泊まることができない、親族の家には泊まれるが縁もゆかりもない場所であり日本サイドでの家族のサポートがお願いできない状況があり、残念ながら「体験入学」は叶いませんでした。

友達のお家にお世話になることや、近隣のホテルに長期滞在をして通うことなど、あらゆる可能性も考えましたが、これも「縁」と捉えて今年は断念しました。

「体験入学」の目的は何だろう、と考えると、私にとっては、美味しい給食を食べさせてあげたい、我が子はタイに縁のあるお友達が99%なのでタイとは関係ない日本にいる日本人のお友達と出会わせてあげたい、“自分みたいな子”に日本で出会わせてあげたい、という目的がありました。
それならば、「体験入学」以外にも方法はあるかもしれないと思い、そこで閃いたのが日本にいる駐在員のお子さんや日本のインター生が行くような「サマーキャンプ」の存在です。

私はサードカルチャーキッズのサポートとして、ピアサポートの存在を意識しています。
ピアサポートとは、「同じような人、仲間同士の支え合い」のことです。サードカルチャーキッズで言えば、親の仕事の関係で海外に住んでいる日本国籍の子、また逆に親の仕事の関係で日本に住んでいる外国籍の子、日本の中でバイカルチャー、マルチカルチャーで育っている子、複数言語を話す子などが挙げられますが、大体の場合それらの子はマイノリティーです。その子達がお互いに、世界中には“自分みたいな子”がたくさんいるんだと気付ける環境、できればお互いにつながれる環境を親として提供、提案することでサポートに繋がると考えています。

そのような理由から、日本の一時帰国でソフトランディングな体験にもなる「英語でのサマーキャンプ」に参加を決めました。多くは日本の学校が夏休みに入ってからの日程でしたが、全国にはたくさんの魅力的なサマーキャンプがあり、 金額も宿泊数も選べるものがたくさんありました。

今回は初めての試みであることと、すでに入っている予定の合間の日程で探したので、3泊4日のものにしました。そのキャンプはアメリカから来日する大学生がリーダーとなるアメリカンスポーツキャンプでした。私もその昔アメリカのホームステイの時に行ったサマーキャンプが楽しかったのと、普段はイギリス系カリキュラムの学校に通っている息子ですが、アメリカ文化に触れる良いチャンスとも思い息子に相談して決めました。

日本に一時帰国して「英語のキャンプ」?と思われるかもしれませんが、全く日本で生活したことのない子が日本的なキャンプに入るのは少々ハードルが高いと感じました。日本語は話せる、しかしその前提となる日本文化には揺らぎがある、ましてや日本の学校文化も知らないとなると細かい齟齬が起こるのは容易に想像できました。 「体験入学」もそうだと思いますが、なるべく嫌な思いはして欲しくない、楽しい思い出を日本でのイメージとして持っていて欲しいと考えるのは自然なことですね。

そういう意味では、日本で行く「英語キャンプ」はとてもちょうどいい。

意外と大変だったのが、持ち物の調達です。宿泊日が多くなればなるほど、着替えの持ち物やタオルが増えますし、アクティビティによっては必要なものも異なります。着替えや長袖長ズボン、靴やサンダルの追加購入や細かいものの事前準備が少し大変でした。
また出発日のお昼ご飯はお弁当持参とあったのでコンビニで買って持たせましたが、他の子達は手作り弁当だったのかな、と思うと少し申し訳ない気持ちになりました。居住国でないと準備にも不便なこともありますが、ある程度は仕方がないと割り切ってできる範囲で送り出しました。

帰りのバスから降りて来るやいなや「来年は5泊6日行く!」と宣言するほど、最高の「サマーキャンプ」だったようです。とにかく「楽しかった、来年も絶対行く、他のシーズンのキャンプも行きたい」という息子に、「何がそんなに楽しかったの?」と聞くと、

「ご飯がすごく美味しかった」。
(よし、私の美味しい給食を食べさせたいというミッションクリア!)

「それから、チームメイトが良かった。特にRくん、日本のインターに通っている日本人の子!すごい仲良くなった。また一緒にキャンプに行きたい!」
(よし、次なるミッションクリア!)

「他にも、中国人と日本人のダブルの子、日本の同い年の子と同じチームで仲良くなった!」
(よしよし、ミッション全てクリア!)

「それから、先生が本当によかった!UCLAに行ってみたい!先生とまた会いたい。いつかぼくもリーダーになって参加してみたい!」
(ミッション以上に得るものあったーーー!!!)

キャンプへは一人参加で決めましたが、本人は嫌がるどころか、「一人参加で良かった、 友達たくさん作れたから!」と得意げに帰宅後話してくれました。キャンプでたくさんのお友達から寄せ書きをしてもらったTシャツが、息子の部屋には今も飾られています。

【サマーキャンプの意義についてもっと知りたい方へ】
東雅江(2019). 研究ノート「移動する子ども」たちのサマーキャンプ.  『ジャーナル「移動する子どもたち」-ことばの教育を創発する-』
https://gsjal.jp/childforum/dat/jccb10-2.pdf

【息子が参加したサマーキャンプ】
Sports Camp Of America (SCOA)
http://www.scoacamp.com

fumi

fumi

  • 居住国 : タイ
  • 居住都市 : バンコク
  • 居住年数 : 10年
  • 子ども年齢 : 10歳、4歳
  • 教育環境 : インターナショナルスクール

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