【オランダ/ハーグ】”譲ること”に慣れている?公園の子どもたち

こんにちは!オランダは絶賛休暇中。
年がら年中休みだらけのオランダですが(笑)、この休暇中はオーストリアにスキー旅行へ出掛けている家庭もちらほら。
雪と山を求めて、オーストリアあたりに行くようです。(オランダには山がありませんので…笑)

異年齢で遊んでいる子どもたち

こちらで公園に行くと、どこからかバラバラと集まってきた子どもたちが同じ遊具で一緒に遊んでいる光景を目にします。特に、回転式の遊具などはわらわらと子どもたちが集まってきて、思い思いに乗り込んで、スピードをつけて回って、誰かが「止めて!」と叫んで止まり、また誰かが乗ってくる…というようなことを繰り返しています。

日本でもこういった光景はあるとは思うのですが、私自身が育休中に娘の子育てをしていた時は、どうだったかな〜と思っています。

学校でも異学年交流がよくある

最近はコロナの影響で控えられているようですが、コロナの前までは娘からよく「今日は大きいお兄ちゃんお姉ちゃんと遊んだ」というような話を聞かされていました。これは娘の小学校に限ったことなのかもしれませんが、学校視察をした学校でも、そもそもクラスが異学年/異年齢構成だったり、学年間の交流を盛んにしているような学校もありました。

特別なイベントで学年を交流させるのではなく、普段から交流があることで「年齢や学年はあまり関係がない」という感覚を持たせるところがあるのかなと感じています。

そして、そういった取り組みの成果は学校の中だけで発揮されるのではなく、学校の外でも子どもたちが異年齢や異学年で交わることへの壁を低くしているように思えます。

赤ちゃんだって遊具に乗せてあげる

先日、娘が公園にいた子どもたちと回転式の遊具に乗っていた時のこと。1人のよちよち歩きの赤ちゃん(推定1歳半)が5〜8歳くらいの子どもたちが回転遊具で遊んでいるところへやってきました。もちろんママがその後ろについていたのですが、どうやらその子は回転遊具に乗ってみたそうでした。

回転速度を上げて遊んでいた子どもたちですが、その小さい子が寄ってくるとみんなですぐにスピードを緩めてあげました。そしてママも、「大きいお兄ちゃんが遊んでいるからあなたはまた今度ね」という素振りもなく、「この子乗っても良いかな?」と聞いていたのです。それに対して子どもたちの回答は、

「もちろん良いよ〜」でした。

そして、そこに乗っていた少し年長の子がその子を抱き上げ、遊具に乗せてあげたのです。他の子は回し始めたのですが、少しスピードが上がってきたところで「もう少しゆっくりにしてあげて」と、ひとこと。

その子は何周か乗ると飽きたのか、ママの元へと返されました。その子もママも満足気。そして、子どもたちはまた通常の速度へと戻っていきました。

「譲ること」が得意な子どもたち

オランダの子どもたちを見ていると、本当に「譲ること」が得意だなと感じることが多いです。それはオランダの子どもたちだけに限らず、私たちが知っているオランダで暮らす日本人の子どもたちにも同じことが言えそうです。

もちろんどんな状況でも、いつでも…という訳にはいかなくとも、多くの子どもたちが「いいよ〜」と物を与えたり、何かを譲ったり…ということに慣れているように見えます。これは、社会や教育の影響なのでしょうか…?

何とも不思議な光景です。子どもたちが”giver”なのです。

samen weken, samen leven

私たちは一緒に生きている、私たちは一緒に取り組む社会に生きている。
そんなことを教えてくれるのが、”samen werken, samen leven”という言葉。

比較的競争も少ない学校教育(特に初等教育)では、点数の取り合いや、比較とはほとんど無縁で、子どもたちは「自分を大切にする」という言葉の中に「他者も大切にする」という行為を落とし込んでいるように見えることがあります。

それはつまり、他者を大切にすることは、自分を大切に扱うことにもつながっているということなのではないかと思うのです。異なる人々が集まる場所では、人の個性や人を認めることを尊重し、それはつまり自分を大切にすることも許されるということ。何だかそんなことを言葉ではなく体験で学んでいるように見えます。

空気は読まなくて良い。誰でもwelcomeじゃん。

公園での出来事は何も今回だけの話ではありません。
子どもたちを見ていると、様々な場面で自然とシェアしたり、譲り合っている場面に遭遇します。もちろん意見がぶつかる時だってあるのですが、「いいよ〜」みたいな感じで隔たりなく受け入れる光景をよく目にします。

過度なプレッシャーにさらされたり、誰かよりも抜きん出る必要があったり、損得勘定が動かざるを得ない状況を多く経験すると、人に優しくできないのは大人も子どもも同じなのかもしれません。

そういった意味では、オランダの子どもたちはそれらとは無縁とも言えます。

赤ちゃんがやってきた状況を見ていると、私が親だったら自分のヨチヨチ歩きの子どもに遠慮させていそうだなと思いました。でも、私が思うよりもずっと子どもたちの方が大人で、空気を読むことも要求せず、ただ受け入れていたのです。そこには年齢も関係なく「遊びたい」という気持ちをそのまま受け入れてあげるだけの余裕があったように思います。

もちろん、これがどこのどの公園でも見られるということはないと思います。また、大人の話となればまた違った風景が見えることもしばしば。笑

ただ、少なくとも子どもの間に過度なプレッシャーや点数を突きつけたりしないことは「いいよ〜」を気軽に言えるきっかけになっているのではないか?そんなことを感じた、ある日の公園での出来事でした。

この記事を書いたボーダレスライター に
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三島 菜央

Nao Mishima

  • 居住国 : オランダ
  • 居住都市 : バーグ
  • 居住年数 : 3年
  • 子ども年齢 : 6歳
  • 教育環境 : 現地公立小学校

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