【オランダ/アイントーフェン】小学校の最初の日

オランダの人の姿勢は、もしくはそれが反映されている政策は、とても現実的で効率の良いものです。
例えば、学校の夏季休暇は地域ごとに1週間ずつずれており、バカンスからの交通渋滞を緩和するようになっています。
こういった事情もあり、私たちが住んでいる地域の学校の新学期は9月6日から開始しました。

見学

娘と私たち親は、前週に一度学校を訪れ、担任の先生・校長先生と話をして、校内を見て回りました。
学校の利用手引きはウェブサイトから参照できるため、このミーティングの中では、「あなたが親として学校に望むことは何か」「あなたの子どもにどのように成長して欲しいか」といった個別性の高い点について話し合いました。

私からは、以下のような抽象的な希望を述べました。

  • 色んな子や考え方があることを認識し、違いを基本的には前向きに捉えられるようになってほしい。
  • 自分の興味のあることを上手く見つけ、どうすればより深く知ることができるのか、方法を自分で考えられるようになって欲しい。
  • 自分の生活や学び方を自分で管理できるようになって欲しい。

先生からは、これに対して、以下のような意見をもらいました。

→ 多様性のある環境で学ぶ、という点ではこの学校は適している。おおよそ25%の子どもの母語がオランダ語以外であり、親の背景も様々である。私たちとしても日本語ができることは素晴らしいことだと思うし、誇りを持って欲しい。
→ 子どもは自分で学ぶ。教師や教育環境は、補佐し導く存在だが、行き先を定めることはしない。そのように学校の時間や空間の使い方をデザインするべきだと考える。生活については、家庭での日々の過ごし方も大事。
→ 情報が容易に得られる社会の中では、選択肢が多く、好きなことがたくさんあるようで、その反面迷うこともある。成長する時期には、体験すること、体験して学ぶこと、体験して自分がどう思うか、に重点を置きたい。

なんとなく夫の友人と会っていても感じることですが、オランダでは話すことや議論が好きな方が多い印象があります。学校の先生方も、こういった話をどんどん続けられそうでした。
もちろん、オススメのお弁当ボックス(子どもが扱っても壊れにくい)の紹介など、具体的な話もありました。

イエナプランは3学年混在のクラスが基本ですが、この学校は研究と教員の討議を経て、3年前から2学年混在へ変更したそうです。娘はグループ3(6歳)とグループ4(7歳)混在の22名クラスに入りました。

都市の中心部にある学校のため、建物面積は広くはありません。
ただ、オランダの住宅デザイン同様に、学校建築も工夫されています。窓ガラスは大きく、色使いが現代的で、半階ずつズラした造りで教室が配置され、実際よりも広く見えます。娘のクラスは、黄色の扉と内装のセクションに、3部屋の教室、2つのトイレ、真ん中に広いスペースがありました。

登校初日

初日はお昼までの半日のため、午前のおやつ(りんご)とメガネをリュックに入れ、夫の自転車の後ろに乗って出かけて行きました。

正午にお迎えに行くと、先生とクラスメート達と校庭に出てきて、ちょっと恥ずかしそうに寄ってきました。以下は、帰りがてら聞いた娘の言葉です。

「お友達が4人できたよ。友達になろうって言ってくれたの。」
「自由遊び時間は、誰と一緒にいたらいいのか分からなくてグルグル回っていたよ。」
「新しいところって、疲れるよね。」
「まだオランダ語は練習中だから、あんまりしゃべらなかった。」
「先生がね、私のこと日本から来たばかりだから仲良くしてねって、みんなに言っていたよ。」
「もう一人、新しい子がいて、その子は泣いていたよ。私もちょっと朝は悲しかったけど、先生の隣にいたから大丈夫だった。(4歳のグループ1から持ち上がりの子が多いようです)」
「明日はね、みんなみたいに、りんごをそのまま持っていく。(その日は切ったりんごを持参したため)」
「だいぶ慣れたと思う。オランダ語はまだちょっと慣れないけど。明日はそんなにドキドキしないと思う。」

初日はお互いを知るために、夏休みの写真を見せて発表をしたり、ゲームをしたりして過ごしたようです。
先生の配慮なのか、ゲームはサイコロを使ったり、真似っこをしたりと、話を聞く限り非言語性の遊びを主導してくれていました。

驚くほどスムーズで、ホッとしました。
「トイレちゃんと行けた?」という私からの質問には、「なんでそんなこと聞くの?当たり前じゃん。」という答えが返ってきました。
日本にいたらまだ保育園児、という私の考え方を改める必要がありそうです。

西山 千香子

Chikako Nishiyma

  • 居住国 : 日本(2021年8月よりオランダ)
  • 居住都市 : 東京(2021年8月よりアイントーフェン)
  • 居住年数 :
  • 子ども年齢 : 5歳、2歳
  • 教育環境 : 公立認可保育園

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