【オランダ/ハーグ】小学校1年生になる娘と私のこころ
あと1週間もしないうちに娘は(日本で言う)小学校1年生になります。
1週間前の私の気持ち、そして節目を迎える娘にメッセージを残しておきたいと思いました。
「ランドセルとかはいらないの?」日本に住む母からのことば
オランダでは4歳の誕生日を迎えると小学校に入学することができ、5歳になると義務教育期間が始まり、7歳を迎えるgroep3は日本で言う「小学1年生」の学年になります。
日本だと「ピカピカの小学1年生」と言われるくらい、小学校1年生になることはとても大きなイベント。日本に住む母からは「ランドセルはないにしても、何かお祝いとしてかたちに残すようなものはないの?」と聞かれました。
オランダにおいてgroep3に進学することは大きな意味を持ちます。それは、”プレクラス”として認識されることが多いgroep1-2を終えて、いよいよ文字の読み書きや算数における学習が本格化するからです。他の学年にとってもそれはある意味同じで、本屋さんや文具店では”back to school!”のようなポスターが貼られ、「学校が始まる!」と言うような雰囲気もあります。
でもgroep3を迎えても、入学時から使っている学校で上着を入れる袋は引き続き同じものだし、体育のTシャツも今使っているものを使います。よって、新しい学年が始まる!という感じはするのですが、気持ちの部分ではそうであっても、持ち物はそこまで変わらない。そんな雰囲気なのです。
そして、学校から「これが必要です」と言われているものも今のところは何もありません。これまでと同じカバンに、これまでと同じように必要だったものを入れて、”スロースタート”で始まるのでしょう。
ゆるやかに年を重ね、成長していく
「勉強が本格的に始まるgroep3から学校に入学するとしたら、子どもたちは新しいこと(授業でオランダ語を書いたり、算数を学んだり…)に圧倒され、しかも、年上のお兄ちゃんお姉ちゃんがいる環境で、その人数や雰囲気に圧倒されるのではないかと思うんです」
私がお話をしたある先生はそうおっしゃっていました。
「圧倒される…?」と一瞬思ったわけですが、オランダで暮らす人々に聞くと、大人にもストレスやプレッシャーに弱い人が多いと認識しているようです。
それがあってかはわかりませんが、低年齢のうちは、特に「急激な環境の変化」をできるだけ排除するように設計されているのかもしれません。
一気に環境が変化することを「節目」と捉えるのではなく、あくまでゆるやかに変化していく環境を用意するよう心がける。そんな配慮があるのかなと感じています。
いよいよgroep3になる娘へ
それでも、私たち家族にとってはせっかくの節目になる年。
ここで、娘にもメッセージを残しておきます。
1週間後からgroep3という学年を迎えるあなたのことを、お父さんとお母さんは心から誇りに思っています。オランダ語がまったく話せない状況から始まったgroep1の中で、自分の知る限りの英語を使って先生とコミュニケーションをとろうとしていたあの日から、もう2年が経ちました。
オランダの小学校に通い出してから、あなたは「学校に行きたくない」と言ったことが一度もありません。お母さんはそれが本当に不思議でした。
でも今は、それはつまり、あなた自身がその環境を楽しめる人間だったこと、そして、ことばがわからなくても温かく迎え入れてくれた先生たちとお友だちのおかげだったと思っています。
もうすぐgroep3の学年が始まります。オランダ語を書いたり読んだり、そして算数を習ったりするようになります。本当のことを言うとお母さんは少し不安です。あなたが習うオランダ語のサポートをきちんとしてあげられるかどうか…そんなことを考えています。
…ということで、あなたがgroep3になるので、同じ時期からお母さんもオランダ語のレッスンを本格的に始めることにしました。お母さんも一緒に成長していきたいと思っています。
これから先、思うようにいかないこともきっとたくさんあるでしょう。ひょっとすると、もっと言葉がわかるようになることで、何か辛い思いをすることもあるかもしれません。それでも1つ覚えていて欲しいのは、お父さんとお母さんは、何があっても、振り返った時にはいつもそこにいるということです。悲しい時は一緒に泣き、楽しい時には一緒に笑いましょう。あなたが「何かあったら相談したい人たちNO.1!」と、心から思えるよう、これからもあなたの少し後ろを歩いていきます。
ピカピカのランドセルも、真新しいお道具箱もないけれど、使い慣れたカバンとお弁当箱、ウォーターボトルを背中に、前を向いて歩くあなたにこの言葉を贈ります。進級おめでとう!
この記事を書いたボーダレスライター に
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税所 裕香子
Yukako Saisho
- 居住国 : ドイツ
- 居住都市 : ザールランド
- 居住年数 : 1年
- 子ども年齢 : 6歳、3歳、1歳
- 教育環境 : ワルドルフキンダーガルデン