【オランダ】やっと会えたね!オランダの有名人、村上さん。

冬のソナタみたいになってしまいましたが。(古い)

今日、以前からお会いしたかった村上さんという方にお会いしました。
村上さんは、オランダ移住を考えた人なら必ず知っているだろう!という有名人です。笑
たぶん(私も含め)、村上さんのブログを読まずしてオランダに移住した人はいないのではないでしょうか。

「英語もできない資格もないパパ&村上家の四姉妹(今は五姉妹) オランダ移住物語」
https://ameblo.jp/4tinyflowers/
という、かなり衝撃的なタイトルでブログを書かれています。笑

しかし、そのタイトルに、
「まじか。そんな先人がいるのか」
と背中を押されて移住を決意した人も数多くいるはずです。
(私も移住前にはこのブログにかなりお世話になりました)

オランダに移住する方々の多くの方は、空港から自宅までの移動や、
その他、生活の基盤を整えるための家具の買い出しなどに村上さんのサービスを利用されるようで。
それだけでなく、オランダへの旅行者の方もやはり”安心”という意味と、
「移住されてどんな感じで生活してるんですか?」という興味から、
村上さんのサービスを利用される方も多いと聞きます。

実際お会いすると、
「うん、みんなこれは頼むよね」
という感じで、とても話しやすくユーモアたっぷりの関西の方でした。笑
現在は、ドライバーサービス以外にも事業を拡大中で、
五姉妹のパパとしてガツガツ前向きに、しかし謙虚にお仕事をされています。

さて、私といえば、両親がいたこともあったのと、
「何でも自分でやってみたい」という気持ちが強過ぎて、
周囲の方々がほぼ面識のある”村上さん”とお会いしないまま、月日が流れていました。

しかし、同じ関西出身ということもあり、移住された最初の理由が「オランダの教育」ということもあって、自分からコンタクトを取り、ようやく会えることになりました。
村上さんも私のブログをよく読んでくださっていたようで、私の教育に対する情熱や想いを買ってくださり、直接お会いする前にも教育関連のお仕事を頂いたこともあります。

これは本当に嬉しいことで、私の書く文章を読んで、
「この人に仕事を任せてみよう」と判断してくださっただけに、
「きちんと良い仕事で返したい」と、より燃えるきっかけになりました。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

…ということで、昼過ぎに娘さん2人を連れて遊びに来てくださった村上さん。
とにかく話が盛り上がり、あっという間に16時になりました。笑
もうとにかく、お互い話したいことが多過ぎて…しかも関西人の喋りときたら、これが…爆

ただ、村上さんがオランダ移住を決意された理由の1つとして大きかったのが「教育環境」というところにとても共感しました。

私は元教員なのでそういった視点があるのは当たり前といえばそうなのですが、
移住を決意された際には既に4人の娘さんがいたにも関わらず、多少無謀とは言えますが(村上さんすみません。笑)、
「それでもここ(日本)から出なければいけない」
と、より良い教育環境を求めてオランダへ移住されたという、そこまでして教育を重視されたところのお話がとても興味深かったです。
何がそう思わせたかというところは、村上さんの個人的な話になるので割愛しますが、その内容にも「そうそう、そうなんですよね…」という感じでとても納得がいきました。
もちろん日本の教育を一方的に批判するわけではないのですが、”日本の教育に危機感を抱いた”というその感覚を移住の情熱にされていたのでした。

しかも、村上さん自身はブログのタイトルの通り、仕事も資格も、英語も話せない状態で家族を引き連れての移住。
「こっちに来て、自分がどれだけ無謀だったかに気がつきました~。笑笑笑」
と話されながらも、もう3年オランダで生活をされているだけに、本当に色々なお話が聞けて楽しかったです。

とにかく、私たちは“子どもたちの教育環境を考えて”というところで様々な意見が一致し、「これからを生きる子どもたちにとって必要な教育」という点でとても熱く語り合うことができました。

しかし、オランダに移住したら教育は完璧、全部オッケー!という訳にはいかなかった。というのも私たちの中で一致した点です。

教育について話合う中で、実際にオランダに移住された方の中には、生活を軌道に乗せることに精一杯で、「教育環境や子育て環境が良いから」と、オランダに移住してきた理由の一部として掲げながらも、実際はオランダの学校に通わせることで満足し、日本語を、日本的教育をどうするか。というところまでは考えが及んでいない人も多い。というお話もされていました。
その点、村上さんはやはり、ご夫婦が日本人であり、ずっと日本文化の中で生きてきた保護者として、子どもたちをどのように育てるか。という点に関しては楽観視できない。とおっしゃっていました。

「オランダの教育は素晴らしい!」と日本を卑下するかたちで謳い、子どもの教育という敏感なところに漬け込んだタイプのビジネスをしている人もそれなりにいるようです。
それは本当に心が痛むところで「三島さんのように教育現場で働いてきて、相当な情熱を持っている方は少ないですし、教育に対する姿勢が全然違う気がします」と言っていただき、本当に嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

今、村上さんは移住3年目でオランダ人とお仕事をされる機会もあり、
「オランダという国の教育環境で育てば、おおらかで大胆に物事に取り組めるという要素が育つ可能性は見えてきたけれど、実はそこが育っただけのオランダ人と仕事をする中で、それだけではいけない。ということが見えてきました。やはり、言語を含め”日本人”としての良さを残せるように育てていきたいと思っています。オランダ×日本のハイブリッドではなく、日本人という軸にオランダ文化をくっつけて育てていくイメージです。」
とおっしゃっていました。

これは、少なくとも3年くらいオランダで暮らさないと見えてこない、オランダの教育の盲点だと感じています。
私自身それを知っていた…とは言いませんが、国際結婚ではなく日本人の家庭で生まれた以上、家庭には日本にまつわるものが溢れています。子どもたちが日本人家庭で育てば、日本に興味を持ったり、日本語に興味を持つことは高い確率であり得ます。もちろん”日本語を学ばなければいけない”ということではなく、子どもが自然に日本に興味を持つ。ということがあり得ると思うのです。

そして、その興味がいつか、
「日本に留学してみたい」
「日本で働いてみたい/日本で暮らしてみたい」
という欲求に繋がったとしたら。
その時に子どもが思うように生きられるよう、保護者ができることをさせてあげたいな。と保護者として、教育者として思うのです。
(もちろん、こうでなければいけない。という訳ではありません)

実際、私は教育現場で外国籍を持ち、複数の国や文化の中で生きてきたことで、アイデンティティをどこにも持たない(と思っている)生徒を見てきました。
「自分が何人かわからない。自分の見かけと属する文化が合っていない気がする」
彼は自分のルーツに関わるどの国の文化も”ホーム”だと思えない。と話していました。
(繰り返しますが、多国籍、他文化環境で育つと、皆がそうなるという訳ではありません)

そういった生徒と関わる中で私が感じたのは、学校/家庭教育というのは日々のことであり、ジワジワと長い時間をかけて染み込ませていくものだ。ということでした。
つまり、単文化の中で暮らすよりも、より多くの配慮を要する。ということで、人間のアイデンティティの確立を深い考察なしに捉えていると、子ども自身が”地に足がついていない”と感じてしまうことがあるのだと思います。

話は戻りますが、村上さんはオランダ人と仕事をする中で、オランダという国が、良い意味でも、悪い意味でも”諦める”国であるということを実感されているのだと思います。それが良い悪いということではありませんが、日本の文化とは大きく異なる教育文化で育っているということだと思います。

これは以前に「オランダの教育の諦め方」という内容で書きましたが、
オランダの教育には全体的に「みんながもっと上を目指そうぜ!」という傾向があまりなく、そう思える人は最初からそう思える教育を受けてきた人、そう思えない人は「思えない」のではなく「思わないから、別にそれで良いんです」という感じなのです。

ある意味、教育熱心な家庭に生まれればその連鎖が続き、そうでなければそうではない連鎖が続く。というのがこの国も問題点でもある。とこちらの大学の先生からも聞きました。
しかし、裏を返せば、だからこそ余計なプレッシャーを感じないという点でオランダの子どもたちはのびのびと幸せに生きているのかもしれません。

しかも、自分の能力に応じて、過度にプレッシャーを感じることなく教育を受けても、社会保障が整っていれば、その後あくせく上を目指して働く必要もなく、人生を充実されられる可能性も出てきます。

ただ、それはオランダ国籍を持ち、オランダでの全般的な社会保障を享受出来る存在になってからのこと。私たちのような”オランダに骨を埋めるかどうかわからない”という立場の人間は、オランダの教育と日本の教育の二足の鞋を履きながら、良いところと悪いところを考えながら、バランスをとる必要が出てきます。

実際のところ、日本という国は島国として孤立しているからこそ独特の文化が発達した訳ですが、極端な同種化が進みました。
よって、日本という国はかなり排他的だとも言えます。(今後どうなるかは未知数ですが…)

例えば私の娘が将来日本で働くとか、日本関連の仕事をするとなった時に、
「日本語が上手く扱えない」とか「日本の文化を全く無視している」「繊細な配慮が足りない」などとなってしまうと、「見かけは日本人なのに、全然仕事できないね」ということにもなり得ます。まず、見かけが日本人なのに、日本語が義務教育を受けてきたレベルで扱えないなどというのが”あり得ない”となってしまうのが現在の日本文化なのかもしれません。

これは、教育水準が高いということと、日本人の識字率は他国に比べて圧倒的に高いというのが関係していると思っています。
これは日本に対する批判ではなく、それくらい独特な文化が発達した国だ。ということです。独特だということは、排他的になるということにも繋がります。しかし、排他的だからこそ守られてきた文化があるというのも事実なのです。

村上さんとお会いしたことは、私自身ももう一度娘への日本的教育や、オランダで開く日本語塾のカリキュラムについて深く考える機会へと繋がりました。

今日は村上さんとお会いして実りある話がたくさんできました。
村上さん、どうもありがとうござました!

and more...