【オランダ】娘を強く抱きしめた日

娘が通う小学校のクラスでは、毎月最初の金曜日は”speelgoeddag”=”toy day”と呼び、自分のお気に入りのおもちゃを持って来て良い日となっています。

今月も最初の金曜日、娘はお気に入りの”squeeze”と呼んでいるおもちゃ、スライムのようなものが中に入っていて、揉むと気持ちいい(?)おもちゃを持って行くと言いました。

少し小さいおもちゃではありますが、本人がこれが良いと言うのであれば持たせればいいか。と判断し、彼女はニコニコしながら学校へ持って行ったのでした。
持って行くなり娘はお友だちに囲まれ、人気者みたいな図になっていましたが…

そして、毎週金曜日は放課後、学校で行われる”craft class”に参加している彼女。
最近は学校側のクラスキャンセルが続いていたので(お金払ってるのに、おいおい)、久しぶりの参加となります。
朝、そのことを思い出したので、
「今日はtoy dayもやけど、学校終わってからはcraft classもあるからね!」
と、念押ししておきました。

そして、夕方。
一般的なお迎えの時間が過ぎた頃、見知らぬ番号から着信がありました。
電話に出てみると、担任からでした。
「◯◯(娘)はまだ学校でお迎えを待っているけど…」
とのこと。この時、外では小雨が降っていました。

「あれ?今日はcraft classではなかったかな…?」と言うと、
「あぁ!確認するわね!」と、一言。
この時点で、きっと娘はかなり悲惨な精神状態になっているんじゃないか。と、気になりました。

娘は私がお迎えに行くのが少し遅れると、いつも不安顔で待っているのです。
きっと、まだ言語が通じない中で、
「お母さんが来なかったらどうしよう…」
と、他の子どもたちよりも不安に思っているからなのかもしれません。

craft classが終了する時間の15分前に学校へ行き、教室を覗こうとすると、教室の前にいたママから、
「あなたの娘、可愛すぎる…いつも見てるんだけど、ほんとめちゃくちゃ可愛い!!」
との一言。笑
「あ、ありがとう!きっと娘もそれを聞いたら喜ぶと思う!」
と返し、教室を覗くと……

他の生徒はスモッグを着て何かを作っているのにも関わらず、娘は椅子に座り、しかも頭を後ろにもたげて、口を大きく開けて爆睡しているのでした……爆
(可愛いってこのことかい!笑)

私はすぐに状況が飲み込めず、一瞬意識を失っているのかと思いました。
(爆睡している状況は意識を失っているのと同じかもしれませんが。←)
そして、その顔は明らかに泣き疲れた果てに寝てしまった…
そんな顔に見えるのでした。

私は娘に話しかけ、優しく起こしました。
ハッ!!と目が覚めた娘は、私の顔を見るなりまた涙目に。
「ママ…..」と、小さな声で私を呼んで、抱きつくのでした。

しばらくの間ハグをしてから、
「今日、craft classのこと忘れてた?」と聞くと、コクリと頷き。
「◯◯(担任)と、ずっとおそとでまってたの….」とのこと。
「お母さん来ないかと思ってビックリしちゃったかな?」と聞くと、
「うん…いっぱい泣いちゃったよ…」と言いました。

私「…いっぱい泣いちゃってもうcraftできないってなったか」
娘「もうね、たくさん泣いてつかれちゃってん」
私「そうかそうか。それやったらもっと早く迎えに来たら良かったね、ごめんね」と言う私に、

娘「きょう、toydayのおもちゃなくなったの」とひとこと。
私「……え?????」

娘「◯◯(クラスメイト)がどっかやっちゃったの….」
私「おぉ、そうなんか。それは辛かったね…もうどこにあるかわからんの?」
娘「うん…さがしたけどなかったよ」
….ということで、お気に入りのおもちゃはなくなり、雨の中、母が迎えに来ないのではないかと不安になり、泣きまくった末に眠ってしまい…と散々な1日だった娘。

そこそこ気が強い娘は、きっとあらゆる状況で言いたいことがあったに違いありません。
自分の大切なおもちゃをクラスメイトがどこかにやってしまった時も、言いたかったことがあったでしょう。
待っても来ない私を待ち疲れて、不安に思い泣いてしまった時も、きっと上手く伝えたかった言葉があっただろうな。と思います。
craft classに参加したくても、泣き止むことができず、何故泣いているのかも、きっと担当の先生に言うことは出来なかったと思います。

少しずつオランダ語が出てくるようになった娘ですが、誰かに何かを咄嗟に言うことができるレベルではないし、言いたい、伝えたいと思った言葉がその状況で浮かぶことも難しいと思います。

色んな気持ちが渦巻ながら、きっと不安な時間を過ごしたんだろうなぁ。
と思うと、娘を抱きしめずにはいられませんでした。

「今日1日よく頑張ったね、本当、お母さん◯◯のこと、色んなことがあったのに本当によく頑張ったと思うし、すごいと思ってるよ」
意外と切替えの早い娘は、それが消化できて安心したのかケロっとしていましたが、私の方がしばらく「そうか~…」「なるほどな…」と、色々考えてしまいました。

craft担当の先生に今日あったことを説明し、
「オッケー、オッケー!大丈夫よ!」と返してもらいました。
教室の前にいたママにも事情を説明すると、
「Oh no! なんて可哀想な…まだ曜日も分からないし、スケジュールなんて頭に入らないわよね…とにかく、あのうるさい教室の中でshutoutして眠れたのは素晴らしいし、寝れて良かったわね!…眠ってる顔が可愛過ぎて、写真撮りたくなっちゃったわ!笑」
とお言葉をいただき。笑
それから娘を連れて家に帰宅したのでした。

この日はその後お友だちをうちで預かる日だったので、それも良かったのか、娘はすっかりいつもの調子を取り戻して楽しそうにお友だちと遊んでいました。

こんな日々の中でも、何とか前向きに楽しみを見つけ「学校へ行きたくない!」と言わない娘のことを本当に心から誇りに思います。
まだ4歳だからこそ…なのかもしれませんが、それでもきっと戸惑うことは数えきれないくらいあると思うのです。
おもちゃの貸し借りや、状況を判断したりする時、きっと娘は難しさを感じていると思います。それでも毎日お弁当をしっかり完食して帰ってくる娘。

娘が前向きに生きられるよう、支えるのは私の仕事。
本人は抱きしめられ、話を聞いてもらうとケロっとしていましたが。
「抱きしめてくれるお母さんがいる。話を聞いてくれるお母さんがいる。」
その安心感が彼女の心の強度に繋がると信じて。

母も全力でサポートしよう!と思ったのでした。

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