【オランダ/アイントーフェン】言語サポート

記事をご覧の皆様、明けましておめでとうございます。

オランダではロックダウンが続いており、外出といえば屋外をお散歩する日々でした。「2019年までの日常」とは異なる日が続いておりますが、どなたも健康で幸せに1年間過ごすことができますように。

私たち家族は昨年8月に来蘭し、9月から娘は小学校に、息子は保育園に通っています。5ヶ月経過した今回は、外国語としてのオランダ語習得のサポート体制についてレポートします。

この街は、オランダで5番目に人口の多い都市で、大学があり、ハイテク企業の多い街です。東京などの大都市とは比べ物になりませんが、ある程度の人口を基盤にし、外国から研究や就労のために来る方も多いため、その子どもたちへのサポート体制にも力を入れています。

○オランダ語教育校(Wereldwijzer)

国外から来て、オランダ語を新たに学ぶ4歳〜12歳の子どもを対象とした初等教育機関が、アイントーフェン市内に2校あります。翻訳すると、「世界ナビゲーション」「世界探検者」「世界に指針を」といった学校名でしょうか。
開校時間や年間スケジュールは他の小学校とほぼ同じで、開校期間中いつでも編入できます。オランダ語を「外国語」として学び、オランダ語で「教科学習」する基盤を作ります。
ウェブサイトによると、オランダ現地の小学校に通う準備が整い次第(ウェブサイトによると、概ね40週間から60週間)、ここから現地の学校に転校します。

我が家の子ども達は実際には通っていないため、ウェブサイトからの情報やその学校に通った後に娘の学校に編入したお子さんからの情報に限られています。
多言語サポートの必要な子どもたちを集め、まずオランダ語を教育するのは一つのアプローチ方法だと思います。
私も個人的に興味があるので、COVID19の蔓延が落ち着いたら見学させてもらいたいと考えています。

○小学校でのサポート

オランダでは4歳になり次第、小学校の「グループ1」に入ることができます。
娘の通う学校は、この街の中でも言語的多様性に富んでいる学校で(生徒の25%が、オランダ語以外を母国語とする)、ここのグループ1とグループ2には、言語サポートを必要とする子どもが一定数いるようです。そのためか、オランダ語以外を母国語とする生徒の支援を担当する教員が1名います(管理職・体育など特別教科の教員を除く、クラス担任教員数は全体で24名)。
この方は、グループ1とグループ2の子どもたちのうち、オランダ語支援が必要な子どもを集め、小人数のグループ指導を行なっているようです。さらに、年齢の進んだ子どもでも支援が必要な生徒がいる場合は、個別指導も行うようです。

娘はオランダ語の理解は問題ないため、この少人数グループの対象にはならず、実際にはお世話になっていません。また、娘のクラス(グループ3とグループ4=6歳〜8歳の年齢混合グループ)23名のうち、このサポートを受けている子どもはいないと説明を受けました。小学校、とは言っても4歳〜5歳の子ども達のグループは生活や遊びが中心で、教科学習はありません。Wereldwijzerに通うほどではないがオランダ語発達のサポートが必要な子どもたちに、早い段階で介入し、6歳以降の教科学習に備える、という印象です。

アイントーフェンで仲良くさせてもらっているご家族に、ご両親ともにオランダ語以外の言語を母国語とし、オランダ滞在期間が短いご家庭があります。こちらのご家庭のお子さんが4歳になり、娘と同じ小学校に入学する時には、この「少人数グループ」に入ることの説明を受けたそうです。

○保育園でのサポート

息子は2歳からオランダの保育園に通っています。2歳という年齢、そして息子もオランダ語を理解することから、事前に保育園のスタッフと本人の発達について情報交換は行いましたが、特別な支援はリクエストしませんでした。「表現したいのにできないような場面があったら、指差し用に絵を使いますね」と保育園の先生は言ってくれましたが、実際にそうしたイラスト(トイレに行きたい・水を飲みたい・など)を使う必要はなかったとのことです。

保育園での言葉数は多くないようで、「お友達と車を走らせたり一緒に遊んでいますが、おしゃべりは少ないです」と教えてもらいました。

○行政からのサポート

日本の保健所のような機関が、子どもの発達や予防接種を担っています。息子の住民登録後、この機関の看護師の方と30分ほど電話会議を行い、既往歴や発育について情報交換を行いました。その際、「3歳になったら発育の確認と予防接種のためセンターに来てもらうので、その時に言語も確認しましょう。」と話しました。

実際に先日行ったところ、担当してくれた小児科の医師が「視力検査を問題なくオランダ語で受けられているので、言語もOKですね。」とコメントし、今後は言語面のフォローは不要とのことでした。

娘が先日、「家ではオランダ語を話さないお友達の誕生日の時には、クラスでその子の言葉でハッピーバースデー歌うんだよ。」と言っていました。今までも、ドイツ語・中国語・英語・トルコ語などで歌ったそうです。オフィシャルな支援以外でも、言語の多様性を認めているエピソードだと感じました。

この記事を書いたボーダレスライター に
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西山 千香子

Chikako Nishiyama

  • 居住国 : オランダ
  • 居住都市 : アイントーフェン
  • 居住年数 : 1年未満
  • 子ども年齢 :  6歳、3歳
  • 教育環境 : イエナプランスクール、保育園(週3日)

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