【オランダ】“褒め言葉”の多い言語とその文化

先日、マレーシア在住の野本響子さんとお仕事でお話させていただく機会がありました。
野本さんは現在マレーシアで文筆家としてご活躍されており、noteでもほぼ毎日欠かさず記事を書かれています。

私自身とても参考になった、
「日本人は『やめる練習』が足りてない」という本をお勧めしたいと思います。日本人の中にある「やめる=負け」が社会をカチコチ、脳をカチコチにしてしまっているのでは?という問いかけなどが含まれています。

さて、では今日は野本さんとお話する中で感じた「”褒め言葉”の多い言語とその文化」について書きたいと思います。

マレーシアとオランダの言語教育

お話をする中でマレーシアとオランダには多くの“違い”があることがわかりました。それは文化関してだけでなく、教育に関してもです。
しかし、同時に“共通点”も見えてきたのです。

例えば、言語のこと。
マレーシアでは一般的に2ヶ国語〜3ヶ国語(英語を含む)を学校教育の中でかなりしっかり学ぶとおしゃっていました。

一方で、オランダでも小学校ではオランダ語に加え英語を学びます。私たちの娘が通う小学校ではgroep1、いわゆる幼稚園の年中から英語を学んでいます。教科としての英語に関しては、学校によってカリキュラム編成が異なるため、必ず低学年から学ばなければいけない。とは決まっていません。
しかし時代の流れから、比較的多くの小学校で低学年から英語を学んでいるような印象を受けています。

言語と文化はやっぱり切り離せない?

自分自身がオランダ語を学習していて思うのは、やはりオランダ語がとても英語に似ているということです。(とか言いながら、まだまだ話せるレベルではありません。汗)
日本語からオランダ語への距離が10だとするならば、英語からオランダ語への距離は5〜6くらいでしょうか。スペルが同じ単語もあれば、英語とほぼ同じ発音の単語も多く存在します。

マレーシアはもともとイギリス領だったこともあり、英語はマスト言語とも言える環境にあるようですが、英語という言語に付随するその”文化”の存在はマレーシアの教育文化に大きな影響を与えていると思うとおっしゃっていました。

英語における「褒める言葉」の多さ

これまでとこれからの日本の教育について、そして、マレーシアとオランダの教育について話をしていく中で気づいたのは、日本語における「褒める言葉」の少なさでした。

マレーシアでもオランダでも、教育の中に「褒める」という行為がたくさんあるということに気がつきました。もちろん、オランダの公教育における学習言語は英語ではなくオランダ語なのですが、私としてはオランダ人の先生たちはとにかくたくさん褒めてくれる!という印象を持っています。

オランダ語に関しては私の語彙の少なさも影響するのであまり偉そうなことは言えないのですが、オランダ語に距離が近い英語に関して言えば、褒めるための言葉や表現はとても多いように思います。

もちろん、「◯◯が上手に出来たね」というような褒め方をするのであれば、表現の言葉はいくらでも作れると思うのですが、端的に一言で褒めるための言葉が英語には、本当にたくさんあるように思います。

褒めるという言葉と行為が子どもたちを「上げる」

よく考えてみれば、私自身もアメリカに留学していた頃、先生たちの「褒め言葉」にモチベーションを上げてもらっていました。
いちいち…と言うと表現が悪いですが、ことあるごとに褒めてくれる先生たちの言葉が自分の士気を高めてくれていたように思います。

また、私自身も、英語を話している時の方が褒め言葉のバリエーションが増えるのを感じます。単純に英語の方が感情が乗っかりやすい。という表現が適切かもしれません。
授業で英語を話している時なども、生徒のアクションに対してポジティブな褒め言葉が溢れてくるようなイメージです。

褒めまくるマレーシアとオランダの先生たち

マレーシアとオランダの教育者の共通点の一つは、
「とにかく褒めてくれる」という点だということがわかりました。

そして、これは教育者に限ったことではなく、社会全体が、
「非難より褒める!」という流れの中にある。ということかもしれません。

先日、娘が雪道で滑って転びかけた日のこと。うまくバランスをとって立ち直った娘に対して、近くにいたおじさんが言ってくれました。
“goed zo!”(英語で”good job!”の意味)

スーパーでカートから必死に商品をベルトコンベアーに載せている娘を見て、レジのお姉さんが一言。
“goed gedaan!”(英語で”well done!”の意味)

休校期間中、何度か娘がオンラインレッスンを受けている様子を見ていたのですが、先生が出題する問題に対して間違って解答してしまったとしても、
「違うよ」や「そうじゃないよ」という否定的な一言は一度も聞きませんでした。
では、先生はどのようにして”間違い”を指摘しているのかというと、

“bijna goed!”(英語で”almost correct”の意味)
と言って、「ほとんど正解!」という、正解をベースにした言い方で子どもたちに声かけをしてくれていたのです。

日本語でも褒めてみよう!

もちろん、言語特性上「褒める」という言葉が多いことはその文化のアドバンテージになるかもしれません。
しかし、日本語でその語彙が少ないからこそ、意識さえすれば改善されることであるとも言えるのではないでしょうか。

野本さんとお話して、私も「日本語の褒め言葉」をもっと見つけてみようと思いました。
欠点や未完の部分に目をやるのではなく、出来ていることろを褒める。
できれば、具体的に褒める!

誰だって褒められて嫌な気分にはなりませんよね。
まずは隣にいる、夫を褒めてみようかな。なんて思っています。笑

この記事を書いたボーダレスライター に
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三島 菜央

Nao Mishima

  • 居住国 : オランダ
  • 居住都市 : バーグ
  • 居住年数 : 1年
  • 子ども年齢 : 4歳
  • 教育環境 : 現地公立小学校

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