【オランダ】オランダは”昭和の日本”…かも?

オランダに上陸した2019年の春、当初は生活を整えるのに苦労しました。
家具も食器も何一つない部屋に、様々な物を買い揃えることで始まったオランダ生活。

そんな生活が落ち着き始めた頃、少しずつわかってきたことがありました。
それは、“オランダは”昭和の日本”かも?!ということです。

こちらに住む日本人と話すと、そこそこの人が同意してくれます。
「私もそう思ってました」と。

年配の方たちが、せかせかした現代人を見ながら言います、
「昔はもっとゆったりしてたのになぁ」
その一言が時に鬱陶しいと思ってきたこともある反面、昭和生まれの私にはその意味が少し理解できるのです。(…とは言っても、私はギリギリ昭和の人間ですが)

もちろん物心ついたときにはもう平成に突入していたので、”昭和”という時代がどういったものだったのか。というのは鮮明にはわかりません。
「人生のほとんどを平成で過ごしてきたお前が言うな!」とか言われたりするのかなぁ。笑

しかし、田んぼだらけだった通学路が、大通りや駐車場へと変化し、駄菓子屋の閉店を目にしたり、家にあったレコード盤がなくなり、カセットテープがMDになり、CDを買い、家の黒電話がディスプレイ付の電話になり、FAXへと変わっていったこと…身の回りの物がどんどん変化していった小学生の頃。
それはもう”平成”だったけれど、”昭和の日本”は物質的には今ほど豊かではなかったにせよ、人々の精神には”何かしらの余裕”があったのではないかと思います。

オランダのどんな部分に日本の昭和、いや、平成初期?(笑)を感じるのかというと。

1番は「ルールで固めない」というところだと思います。
私は子育て世代なので、どうしても子育て環境に目がいきがちですが…

・多くの小学校の周囲には日本ほど高い柵がない
・小学校の校門は基本的に施錠されていない
・小学校に防犯カメラがほとんどない
・公園にもほとんど高い柵がない
・公園でのボール遊びは基本的に自由
・大人でも自転車の二人乗りは違反にならない(何なら3人乗りも)
・バイクの2人乗りOK、ヘルメットなしOK
・いかなる時もヘルメットは任意
・店で焦らされることがあまりない
・多くの人が”待つ”ということに寛容である
・公共交通機関のカードスキャンが日本ほど厳しく管理されていない(利用者の良心に問うところがまだある)
・知らない人同士でも喋ることは大いにある

こういったところを見ながら、いつも「この国はゆったりしてますねぇ」と思っています。←

これだけ書くと、すごく良い国!みたいに見えますが。笑
もちろんオランダはゆったりとした良い国ですが、自分自身が日本という遠く離れた異文化から来た人間であることで、精神的にストレスを感じる場面ももちろんあります。

話は変わって、
オランダでは多くの人が移動手段として自転車を利用していますが、多くの場所で“自転車専用道路”があります。つまり、歩道は歩行者のために用意されている。ということです。

子育て世代の私としては、生活の中にこれがあるだけで子連れで外出した時のストレスが大いに軽減されていると感じています。

「後ろ見て」とか、
「ちょっと右に寄って」とか、
「自転車!」とか、
叫ばなくても良いのです。

自転車は自転車道を走るもの。
だから、歩道には基本的に歩行者しかいません。

よって、後ろを気にせずにベビーカーを押せるし、
基本的に、追い抜け追い越せ精神ではなないオランダ人は、子どもが歩道でストライダー的なものに乗っていてもあまり邪魔がったりしません。

ニコニコと、
「自転車の練習してるんかーい?」
という感じで見てくれる人もたくさんいます。
それもまた昭和っぽいんです。

オランダにきて最初の頃、私は「今まで子育てを周囲の人のためにしていたんじゃないか」と思いました。
周囲の人に迷惑がかかることに気を遣い、子どもを躾けていたように思いました。

もちろん、オランダで幼い子どもを放ったらかして歩かせて良い訳ではありません。子どもの行動に対して注意を払う必要はあると感じています。
(しかし、オランダ人は日本人ほど器用に子どもの行動を見ていないような気もする。←)

ただ、“多くの人が寛容でいてくれる”という安心感の中で子育てができます。
ベースとして、そういった気持ちでいられることは保護者にとっては有難いのです。

日本の百貨店やスーパーなどに行くと、
「お子様から手を離さないようにお願いします」とか、
「お買い物の際はお子様と手を繋いで」というようなアナウンスが聞こえてくることがありますが、
そういったアナウンスが店側から流れると、
「店側から手を繋ぐように言われているだろう、保護者として何をやっているんだ」
という意見を持つ人が正解…という流れになってしまうような…

「誰かに責められるのが怖くて子どもをきちんと躾をする」

もちろん周囲の目というのは自分自身の行動を自制するための役割として必要な時があります。しかし、それが過度になってしまえば、「ストレスでしかない」という状況にもなり得ます。

「子どもと一緒に出歩くのが億劫だなぁ…」
という気持ちになってしまっている保護者はたくさんいるのではないでしょうか。

私自身オランダに移住してから感じているのは、そういった”子育て環境”の違いです。
もちろん、公共での”当たり前”曖昧なことで様々な価値観を持った人がぶつかることも多いとは思いますが。

ただ、ルールでかためると「従うが善」という思考停止に陥りやすいので、やはり「これは良いのか悪いのか」を常に考える生活こそが、 “思考する人”を作るのであり、オランダ人の価値観に繋がっているのではないかな。と思っています。

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