【アメリカ】初めてできたお友達

今から1年4ヶ月ほど前、渡米して間もない頃のことです。

英語はもちろん、右も左も分からない状態で渡米翌週からデイ・ケア(保育園)へ入園した次男。当時4歳でした。

保育園では、セキュリティ上の理由で、子どもを送り届ける時はもちろん、迎えに行く時も、親は子どもの教室の中まで行かなければなりません。

登園初日。
初めて教室の中に入った私たち。私が担任の先生と簡単に挨拶や自己紹介をしている間、息子は私の手を握ったまま、辺りを見回して呆然と立ちすくんでいました。

そして、私が教室を後にしようとした時、予想通り息子は不安で泣き始めました。しかし、ここで私がなかなか離れずにいると、先生にも迷惑をかけてしまうと思ったので、息子にはお迎えの時間を冷静に伝え、笑顔で「またあとでね。」と言い、私はドアの外へ出ました。エントランスまで響き渡る息子の泣き声は、剣の如く私の胸に突き刺ささりましたが…(笑)

約束のお迎え時間になり、迎えに行くと、息子はまだ泣いていました。一体何時間泣いていたのでしょう…
先生も、「いやぁ〜よう泣きますなあ〜!」といった、少々お疲れ気味の表情。す、すみません…。
でも、初めは皆そうよと励ましのお言葉もいただき、私たちは保育園を後にしました。

翌日からは、絶対に行きたくないと一点張りの息子。英語も意味不明だし、何をすれば良いのかわからないし、とにかく不安でたまらないと。
でも、ここで行かなくなると、いつまで経っても前へ進めないと思ったので、泣き喚く息子を抱きかかえて送り届ける日が続きました。

入園から数日経ったある日、いつものように教室へ入り、泣き叫ぶ息子をなだめながらバイバイしようとしていたら、同じく子どもを送り届けに来たクラスメイトのお父さんから突然、「日本人ですか?」と日本語で話しかけられたのです。

日本人は一人もいないはずのこの園で、日本語が耳に入ってきたことに驚いた私たちでしたが、そのお父さんと少し話していくうちに、日本で数年仕事をしていた経歴があり、その後も日本が大好きで、よく訪れているということを教えてくれました。

そのアメリカ人のお父さんは、なかなか保育園に馴染めない息子のために、そのあとも色々と親切にしてくださったのです。

まずは、ご自身の息子さんに、「○○(私の息子の名前)は、アメリカへ来たばかりで英語が分からないから、助けてあげてね。そして、一緒に遊ぼうと言ってあげてね。」などと声をかけてくれたり、私が担任の先生に聞きたいことがある時、もしうまく英語で聞き出せない場合はいつでも通訳してあげるよ、と言ってくれたり、私の居ない時にも、息子さんを送り届けに来た際に、教室で息子に「何か困ったことはない?先生に伝えて欲しいことはない?」と日本語で尋ねてくれたり…。

さらには、プレイデート(放課後や週末に子ども達を一緒に遊ばせること)に誘ってくれたりと、私たち親子にとっては、保育園で唯一日本語が通じる、本当に心強い存在でした。
息子も、訳の分からない英語だらけの教室内で、お友達のお父さんから話しかけてもらえる優しい日本語に、どれだけホッとしたことでしょう。また、そのお友達も本当に優しくて親切にしてくれました。
このお友達こそが、息子にとって初めて出来たお友達だったのです。

お友達の家。広大な敷地の自宅の庭にブランコが羨ましい。

週末に公園で遊んだり、お家へ遊びに行かせてもらったり、逆にうちへ遊びに来てもらったりと交流を深めていくうちに、あんなに嫌がっていた保育園を、少しずつ好きになっていった息子。そのお友達家族には感謝しかありません。

こちらは、我が家のアパート内にあるプール。アメリカでは、プール付のアパートが多いです。

ネイティブのお友達と遊ぶことは、生きた英語を学ぶ絶好の機会です。
お友達と遊ぶことを通して、これまで見たことのない新しい世界や価値観などを、全身で感じることができます。
私は、そんな息子の心の成長が、これからも楽しみです。

渡米から1年4カ月経った今では、自分から積極的にいろいろなお友達に声をかけられるようになり、Home Living(おままごと)やMatching Game(絵合わせの神経衰弱)、Legoブロック、そして外ではTag(鬼ごっこ)やサッカーをして、毎日元気に遊んでいるようです。
(新型コロナウィルスの影響で、公立の小学校などは閉鎖されていますが、次男の通う私立保育園は有難いことに開け続けてくれています。)

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