【オランダ/ハーグ】娘が本を読んで涙した日
こんにちは!
先日、娘が近所のお友だちに借りた日本語の本を読んでいた時、その話の結末に感動して涙していました。その様子を見て私まで涙してしまったのですが、せっかくの記念日なので、書き記しておきたいと思います。いつか娘と読み返す日がきたりするのかな。なんて思いながら。
本もゲームも大好きな娘
娘は本がとても好きで、暇さえあれば本を読んでいます。もちろんゲームも大好きで(笑)、1日のスクリーンタイムが無制限であればずっとiPadでアニメを見るか、ゲームをしているとは思うのですが、我が家では少し制限をかけています。
1日40分程度のスクリーンタイムが終わると、お絵描きをするか、塗り絵をするか、クラフトをするか、本を読むか、秘密基地を作るか、ごっこ遊びをするか…の娘。
最近では本を読むことが多くなってきました。
オランダ語 < 日本語
オランダの現地校に通い、学習言語はオランダ語の娘ですが、子ども同士でオランダ語を話をしている様子や、他人とオランダ語を話している様子を見ていると、その流暢さというか、本人の居心地の良さはやはり日本語にあるなと感じています。
もちろんオランダ語は彼女の教育の中では大切な言語だとは理解していますが、私たち両親とコミュニケーションをとる言語は日本語で、彼女の感情の軸がある言語は日本語で維持したいので(この先、読み物から感性を得たり、悩みなどを話せる言語として)、「日本語をベースにオランダ語を育てる」ということを家庭では意識しています。
漫画やアニメに興味を示し出した6歳
彼女はここ1、2年くらい、日本のアニメを細ーく、長ーく見続けています。コナン、ワンピース、どらえもん、サザエさん、おしりたんてい、鬼滅の刃など、ハマっては次へ行き、また流行りが戻ってきては観て…を繰返してきました。彼女が置かれている状況が日本ではないため、スクリーンタイムを維持しながら、それも時には柔軟に対応して、文化興味から言語を発達させる意識をしています。コナンやワンピースなどは、語彙が難しいことも多いので、彼女が望めば家族で一緒に観たりして「”ゆうじょう(友情)”って何?」とか「”はんめい(判明)”ってどうなること?」など、彼女の言葉の疑問に寄り添ってきました。
その興味は日本語⇄オランダ語の行き来に変化する
アニメから始まった彼女の興味は、日本語の漫画へ移り、彼女はいつの間にか図書館にあった「オランダ語の漫画」もよく手にするようになりました。内容をきちんと読めているとは思えないのですが、コマ割りの漫画は絵と共にオランダ語があることで、展開もわかりやすく、どこか日本のアニメや漫画に興味をリンクさせていたのだと思います。
多い時は1週間に1回、少なくとも2週間に1回は図書館に行くことを習慣づけたのは、彼女がオランダへ来てまだ文字が読めない頃でしたが、日本語の絵本の読み聞かせの習慣は赤ちゃんの頃からついていたので、図書館に足を運んでは英語の本を選んでもらって、図書館で読み聞かせをするところから始めていました。
言語の発達に「読み聞かせ」は大きく影響すると言われていますが、ただ単に読み聞かせをしても本人が本好きになるとは限りません。結局「読み聞かせ」は「愛着形成」なのだと思います。本の読み聞かせそのものに意味があるというよりは、「保護者とゆったり、楽しく本を読む」という空間の安心感が子ども「愛のある経験」につながり、そこから得た安心感が本の世界を広げるきっかけになりやすいのではないか。と思っています。
つまり、絵本の読み聞かせをすることが目的ではなく、あくまで手段として有用であることが多いということだと考えています。
いよいよ、両方の言語の本を音読するようになる
本を(自ら)取り出す頻度が上がるようになってから、いよいよ学校で本格的に習い始めたオランダ語を使って、(簡単な本を)自力で読めるようになってきました。それと同時に、日本語でもオランダ語でも音読を始めるようになりました。これがほぼ同時期に始まったので、彼とは「文字を通して自由になることが(両方の言語において)つながったのかもね」と話しをしたことを覚えています。
そこから一気に本へ費やす時間が増え、(スクリーンタイムが終わって)暇さえあれば本を読むという習慣が定着したように思います。
お気に入りの日本の漫画を見つける
知り合いの日本人のお友だちの家へ初めて寄せていただいた時、そこにあったギャグ漫画シリーズを目にしたことで、彼女が持つ本への関心を一気に加速しました。
無論、ここまでいくつもの本が彼女の前を通り過ぎてきました。たくさんの本を用意し、読み聞かせ、無数の本が彼女の「本当の興味」を作り上げるために通り過ぎていったのだと思います。彼女が手にしたのは「角川まんが科学シリーズ」にある「どっちが強い!?」シリーズ。色んな動物が2つ登場し、どちらが強いか、何故強いのか、どうやってここまでその動物が生き残ってきたのかを描写しています。
「裏切り」や「恩返し」など、6歳には難しい漢字も出てきますが、ふりがながうってあるので、意味はつかめなくとも読めているようです。話の流れ的に本当に意味を知りたい時は「これってどういう意味?」と聞いてくるようになりました。
登場キャラクターの相棒が死んでしまうシーンで涙
そのシリーズの中にある話の中で、登場キャラクターの相棒のカラスが死んでしまうシーンがありました。とても仲が良かった2人の仲が引き裂かれる様子に、そして最後までそのペットのカラスが相棒に忠誠心を誓っていた様子に娘は涙したようです。
「お母さん…悲しくて…泣いちゃう…」
と、本を読み終わった娘は、私のところにきてハグをしました。
「そうかそうか…」と抱きしめ落ち着いた後、どんな話だったのかを本を追って説明してもらいました。娘が何を感じたのか知りたかったのです。その後、その話を私も読んで確かに私も感動してしまい、一緒に涙してしたのでした。
娘の心と言語の成長に感動した日
私自身が本を読んで感動して涙した日はいつだったでしょうか?とにかく、娘がここまで大きくなったという事実に感動しました。本を読んでその内容に心が揺さぶられるのは、とても大きな成長だと感じます。
決して日本語を学ぶことを強制してこなかったのは、彼女自身の中に「自分で選択して学ぶことの楽しさ」の種を蒔きたかったからでした。彼女のことを日々観察して、よく話を聞き、興味の軸がどこにあるのかを日々アップデートすることで、必要な絵本や教材を家庭に用意してきました。そして習慣を大切にしてきました。
「誰かに言われなければやらない」という感覚ではなく、親がよく子どもを観察して、適切なタイミングで適切な環境を用意すれば、自然とそこにある環境の中から「自分に合ったもの」を選ぶ力を、本来、子どもは持っているように思います。
もちろんその「環境設定」は一筋縄ではいきません。また、時間もかかります。そして明確な「こたえ」はありません。でも、人間だれしも一人ひとり違うことを考えれば、一筋縄でいかないことが当たり前に思える上、忍耐強く待つことが親の務めだと思うのです。
彼女の目の前を通り過ぎていった(大量の)さまざまな本や、刺激を与えてくれたあらゆるおもちゃや教材、そして経験は全て今につながっているのだと感じました。それはつまり、日々を大切に過ごしてきたということなのかもしれません。
娘が本を通して”感動”を経験した日。
いつか娘が大きくなった時、私自身が彼女の成長に大きな感動をもらったことを伝えたい。そんな風に思った日でした。
この記事を書いたボーダレスライター に
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税所 裕香子
Yukako Saisho
- 居住国 : ドイツ
- 居住都市 : ザールランド
- 居住年数 : 1年
- 子ども年齢 : 6歳、3歳、1歳
- 教育環境 : ワルドルフキンダーガルデン