【タイ】自分を大切に、人を尊重する教育、それが性教育 -前編-

みなさんの滞在国では、どのように性教育がされていますか?
そもそも、学校でそういった教育がされる環境でしょうか?

滞在国の環境の危機感のレベルは様々でしょう。

性教育って最近耳にするようになったけど、いつから、何を、どのように伝えたらいいのかよくわからない、という人も多いのでは?

実はバンコクには、産前産後の相談​から​育児相談、親向け性教育やお子さん向け性教育を教えてくれる看護師さんがいるのです。今回は看護師であり、ホスピス勤務経験も​あり、そしてご自身も子育て中である美並りなさんに、バンコクでの性教育を中心にお話を伺ってきました。性教育の枠にとらわれない人間教育のビジョンを描く、りなさんの優しい想いに触れてきました。

−−−まず、タイにある学校での性教育の現状を教えていただけますか。

美並りなさん(以下、美並):タイにあるインター校のほとんどが、ユネスコ「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に則って、授業が行われています。学校や先生によって指導する内容や手順が異なるようですが、うちの子(りなさんのお子さん、インターナショナルスクール在籍、高学年)の学校の場合は、まず親に向けてワークショップを開催し、宗教でタブーなどがあるご家庭の場合は子どもにその授業は受けさせない、と申し出ることができるようです。その選択肢があるということは、まず大事なことですね。

バンコクにあるインター校では、早いとYear1(幼稚園年中、年長)で最初の性教育の授業が行われます。それは、Secondary(中学校、高校)になると、避妊について教えなければならないからです。

−−−早くから行う学校もあるのですね。うちの子の学校ではYear5(小学校3年生から4年生)の時に、「性とコミュニケーション」についての授業を1−2週間の間にする予定です、という手紙が来ました。予め教えてもらえるのは、親として覚悟ができるのでいいな、と思った記憶があります。その時は、Scienceの中で授業をしたみたいなのですが、英語補習クラスに入っている場合はその授業は受けられなかったみたいです。

美並:そうなんです。その場合は、親が希望すれば、学校に特別に指導してもらえるよう依頼することができると思います。あるいは、日本に一時帰国した際に、体験入学をするならば、その時に保健室の先生に依頼することも可能です。

−−−そうなのですね、知らなかったです。親がどこに課題を持っているかで、得られる情報が変わりますね。では、バンコクの日本人学校の場合はどうですか?

美並:日本人学校の場合は、日本の学習指導要領に則っているので、性教育は義務教育ではできないのです。バンコクは比較的安全だからあまり危機感はないけれど、アメリカやヨーロッパの現地校の場合、性犯罪がもっと身近にあり、親はもっと危機感を持っています。ですのでオンラインで自ら学んでいる傾向があります。

本当はバンコクの日本人学校でも講座をしたいのですが、コロナ以降外部講師が学校になかなか入れず、今は日本人会の幼児向けサークルで、ケアの仕方を教えると共に性教育を少し学んでもらっています。小学生に上がる前にママだけでなく、パパにもシェアしながら性教育の知識と夫婦で価値観を擦り合わせて行って欲しいと思います。

−−−そうなのですね、知らなかったです。親がどこに課題を持っているかで、得られる情報が変わりますね。

後編へつづく

子安 芙美

Fumi Koyasu

  • 居住国 : 日本
  • 居住都市 : 東京
  • 居住年数 : 1年
  • 子ども年齢 : 10歳、4歳
  • 教育環境 : 公立小学校、私立幼稚園

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