【イングランド/ノッティンガム 数学を英語で学び始める】

イギリスからこんにちは、Ryokoです。

今回はYear 7の数学(Mathematics、以下Maths)体験についてレポートします。

前提として、息子が通うセカンダリースクールはイングランドのナショナルカリキュラムに沿った学習内容で、「キーステージ」(Key Stage、以下KS)と呼ばれる複数年の単位で構成されています。セカンダリースクールの5年間はKS3とKS4に分かれます。

各キーステージの終わりには、教師が生徒の成績を正式に評価するとされています。
参照元:The national curriculum https://www.gov.uk/national-curriculum

さて、レポートする学校のMaths部門は、以下の方針を掲げています。

・成長を促す環境
・KS3からKS4へのスムーズなトランジション
・各トピック終了時のテスト
・学習効果を高める様々な教授法-運動感覚的アプローチ、ゲーム、マインドマップ、等
・少人数クラス
・オープンドア ポリシー

それでは振り返ってみたいと思います。

「最小公倍数」英語では?

Year 7最初のタームが始まってから約1か月後に初めて息子が出席したMathsのクラスでは、”Number and Number System”というユニットを学習していました。概ね、日本の中学校数学の「正負の数」「整数の性質」「平方根」に該当します。

実際のクラスのノートを見ると、例えば最大公約数を求めたり、そのために素因数分解をしたり、小数を含む四則演算をしたりと、すでに日本の小学校で習っていた内容が多かったようですが、息子にとっての最初のチャレンジは英語の数学用語を覚えることです。当時は日本語に戻って意味を確認した上で、英語を覚えるというプロセスを取っていました。

数学用語の例

・Lowest common multiple 「最小公倍数」
・Highest common factor 「最大公約数」
・Power 「累乗」
・Square root 「平方根」
・Fraction 「分数」
・Inverse 「逆数」
・Remainder 「余り」
・Decimals 「小数」

このような数学用語は、一般的な単語よりも具体的で正確な意味を持つので、クラスルームでの学習を通じて理解するのにそれほど長い時間はかかっていませんでした。数学に関しては日本語での学習も継続しており、言語に関わらず数学的な思考を習得していってほしいと思っています。

生徒それぞれのレベルでの成功をサポート

教師によっては、自身がクラスルームでホワイトボード等に書きながら説明することよりも、生徒が課題に取り組み、それに対してフィードバックを与えることに時間を充てています。15人程度の少人数クラスのため、教師が生徒のノートを確認してコメントを記載し、さらに時間内に課題を終えた生徒に難易度の高い課題を提案することもあるようです。

そうしたクラス運営を可能にする仕組みの1つとして、パンデミックの影響もあり、教師が計画的にビデオチュートリアルやクイズを作成し、クラスルーム以外でも生徒をサポートすることが継続されています。またNRICH(ケンブリッジ大学の数学と教育学部によるオンライン数学リソース)やBBC BITESIZEHegarty Mathsなどの外部コンテンツを適宜取り入れ、生徒の学びを促しています。これらは繰り返し学習することができ、また検索性にも優れているのが特長です。

また、学校全体で導入しているSatchel Oneというオンライン学習プラットフォームには、教師と生徒間の課題提示、提出機能のほか、タイムテーブルや教師がクラスでの生徒の貢献度や積極性を評価してポイントを付与する機能があります。生徒は教師のアドバイスをオンラインでも確認して、クラスの準備や課題に取り組むことが期待されています。タイムリーにクラスの内容や課題が共有されるため、生徒をサポートする保護者にとっても大変便利なものです。    

しかし、日本のように「教科書という図書」に沿ってクラスで学習することがないので、当初はどの分野のどのトピックをどの順番で学習しているのか体系的に分かりませんでした。その後学校のMaths部門のガイドを見たところ、KS3ではナショナルカリキュラムのバージョンの1つであるKangaroo Mathsのプランやアプローチを採用していることがわかり、3年間の全体像を確認することができました。

ランチタイムも活用

オープンドア ポリシーの施策として、毎週1回ランチタイムに、Maths Clinicという場が設けられています。数学教師の教室で開かれ、参加者には数学が得意でもっと先に進みたい生徒もいれば、クラス中に終わらなかった課題をこなす生徒もいるようです。

なお、テストは教科ごとのプランとスケジュールで行われますが、Mathsのテストは概ね2-3週間に一度行われています。電卓を使ってよい課題やテストも多いので、ほとんどの生徒が持参していることは日本との違いですね。

これまでの日本の小学校での算数学習と、イギリスの学校での教師からの励ましにより、Mathsに関して良い評価を得たことはYear 7のハイライトです。とはいえ、まだイギリス中等教育課程の入口に立ったばかり。そして学校が掲げる学びのビジョンと、12歳の行動のギャップは多々。今後、冷静に分析していきたいと思っています。

この記事を書いたボーダレスライター に
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秋吉 良子

Ryoko Akiyoshi

  • 居住国 : イングランド
  • 居住都市 : ノッティンガム
  • 居住年数 : 1年
  • 子ども年齢 : 12歳
  • 教育環境 : 現地私立中学校

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