【イタリア】イタリアの英語教育について思うこと

こんにちは、はるです。
12月23日から学校が冬休みに入ったので、慌ただしい生活もしばらくお休みで息子も私もホッとしています。

さて、今回はちょっと主旨を変えて、私が常々疑問に感じているイタリアの英語教育について書きたいと思います。

息子はイタリアで生まれ、保育園、幼稚園、小学校、中学校とイタリアの教育施設に通って来ました。マントヴァには日本語補習校もなく、息子が小1の夏休みの日本一時帰国中に、3週間日本の公立小学校に通ったのみです。

なので、今現在の日本の教育がどんな物なのか、どういった問題があるのか詳しくは分かりません。ですから、今の日本とイタリアの教育を比べることもできません。
しかし、私がイタリアに住んで、実際に息子をイタリアの公立学校に通わせる中で見てきた、イタリアの英語教育に対する問題点についてお伝えしたいと思います。(これは、あくまでも私が感じることで、特に問題視することは無いと感じる方もいるかと思います)

イタリアでも小学校から(一応)英語の授業が始まります。しかし、息子達の親くらいの年代の人達が学生だった頃は、中学校でも英語の授業はなかったそうです。
ちなみに、現在は中学校で英語は必須科目になっており、息子の中学では英語のみ、英語とスペイン語、英語とフランス語、英語とドイツ語から選ぶことができます。しかし各クラスには人数制限があり、英語のみを希望しても定員オーバーだった場合は他の外国語も勉強するクラスに入る可能性があります。

今や英語は国際語、世界中の観光地では英語の通じる所がほとんどではないでしょうか?しかし観光大国のイタリア、実はヨーロッパの中でも国民の英語力がかなり低い国だということをご存知でしょうか?

最近のイタリア人の親達の中には、英語の教育に熱心な人もいるように見えます。それならば、中学校では英語のみを教え、高校から第二外国語を教えるシステムにすれば良いのでは?と私は思うのですが…

イタリアの映画館で観る映画は、全てイタリア語吹き替えになっていると知っていましたか?イタリアの首都ローマですら、オリジナル言語+字幕で観れる映画館はほんの少ししかもありません。
私はこれを日本でイタリア語のレッスンに通っていた時に、ローマ出身の先生から初めて聞いて、冗談でしょ?と思ったのを覚えています。

なので、映画館でもテレビでもDVDでも、海外の映画やドラマなどは大人も子供もイタリア語吹き替えで観るのが一般的です。(私は未だにかなり抵抗があります…)
日本に住んでいるイタリア人の友人に「なぜイタリアでは、字幕ではなくイタリア語吹き替えで観るのか?」と尋ねたことがありますが、友人の答えは「字幕を読みながら画面を観れないから」でした。

更に、例えばテレビ番組でハリウッドスターのインタビューが流れるとします。
日本でなら、日本語に吹き替えられている時もありますが、字幕が付く時、通訳の人が訳す時と色々あるのが普通です。
でもイタリアでは、ほぼ全てがイタリア語の吹き替えになっているので、大人も子どもも英語の会話が耳に入ってくる機会が非常に少ない。自ら英語で聞こうと何かしらアクションを起こさない限り、常にイタリア語のみが耳に入ってくるという状況です。

英語が話せるスイス人とオランダ人の友人に「どうやって英語を話せるようになったのか?」と尋ねたことがありますが、2人ともテレビで字幕を見ながら覚えたと言っていました。ヨーロッパの言語は由来が同じ場合、似ている単語が多いので、こういうことが可能なのかな?と思います。
仮に日本人が字幕付きでテレビだけ観ていてもそんなに簡単に英語を話せる様になれるとは思えませんよね?(余程の語学センスのある人なら可能かもしれませんが…)

イタリア語の語源はラテン語で、ラテン語が語源になっている英語の単語はイタリア語と非常に似ています。イタリア人なら容易に意味を想像できると思います。
そして、私が英語とイタリア語を勉強してみて分かったことは、イタリア語に比べて英語はとてもシンプルな言語だということ。イタリア語の文法はかなり複雑で、私はとっくの昔に諦めて間違っても気にせず使っています…外国人ですし(笑。
それなのに、実際はイタリア人の英語力は低く、英語を話せる人が少ないという現実。それはやはり、イタリア語吹き替え、昔は英語を学生に教えていなかった、イタリアの生活に英語が浸透していないことが影響しているのではないかと私は思ってしまうのです。

息子が3年間通った公立幼稚園には、毎年イギリス人が1年間を通して来てくれて、遊んだり歌ったりしながら園児達に英語に触れる機会をたくさん作ってくれていました。
ところが、公立小学校に入学すると途端に英語の授業は、イタリア人の教師のみが教えるようになります(自治体にも寄るのでしょうが、息子が夏休みの間に3週間通った日本の公立小学校には英語のネイティヴスピーカーがいました)。

イタリアの公立小学校では英語の授業で、特にこれを教えないといけないという決まりは無いそうですが、政府の予算カットの為!英語専門の教師が人員削減され、他の教師から希望者を募り、短期間の育成コースを受講するだけで英語教師になれてしまうのだそうです…(汗

息子のクラスで5年間英語を教えたイタリア人の先生は一応英語は話せる人だったので、リスニングとスピーキングを中心にした授業が多く、その先生の作詞作曲した英語の歌を生徒達に歌わせることが多かったです。
教科書はほとんど使わず、宿題も少なく、宿題が出てもチェックはしない、答え合わせもしない時が多かったです。そんな授業だったので、英単語の語彙数も増えず、文法も本当に少ししか学習しませんでした。

イタリアでは英語の文法は中学校で一から勉強し始めます。なので、息子の英語の先生のやっていたことは間違いではなく、ある意味正しいと私は思うのですが、問題は、他の小学校では文法も教えていた!ということです。中学生になってから今の息子のクラスで、他の小学校卒業の生徒達と息子達の小学校卒業の生徒達との間で、英語文法の基礎力に差が出てしまっているのです。

小学校のうちは、正しい英語に耳を慣らすことが大切だと思います。楽しみながら英語が身に付く様な授業が求められると思います。文法ばかり教えて子ども達が英語を嫌いになってしまっては意味がありません。
確かに文法の知識は必要です。しかし小学校の間、はっきりとした英語の学習指針がないのであれば、生徒達の文法の理解度に差が出ない様に、親としてイタリア全体、無理ならせめて町全体で足並みは揃えるようにしてもらいたいと強く思います。
それが無理なら、小学校でも「高学年からは文法のここからここまでは学習させること」などと国なり自治体なりで統一して欲しいです。

イタリアの政治家の数はアメリカよりも多いとか、イタリアの政治家の給料はドイツよりも高いとか、よく耳にします。私には真実は分かりません。しかし、一国の政府がその国の未来を背負って立つ子ども達の教育の予算を削って良いのでしょうか?

日本にも様々な子どもの教育にまつわる問題があると思いますが、海外でも国によっては教育制度に問題があるということを日本のみなさんには知っておいて欲しいと思い、この記事を書かせて頂きました。
住んでいるから見えてくる海外の問題点も、参考にしていただけたらと思っています。
将来、子ども達の生きる世の中が明るく、希望に満ちたものになっていることを心から願います。

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