【オランダ】新年度のはじまりと複数担任制

さて、9月に新年度が始まり約1ヶ月半が過ぎました。
何とか始まったコロナ禍での新学期。

オランダでは昨日、首相の記者会見がありました。
第二波の影響が大きいオランダでは、また規制が強化され、飲食店はテイクアウトのみの営業となることが決定しました。
他にも公共施設でのマスク着用義務などがあり、緊張感が高まっています。

複数担任制で始まった新学期

昨年度groep1だった娘は、この9月からgroep2に進級しました。
クラスの再編成は行われず、groep1からの同じクラスメイトと新学期を過ごしています。

変わったことと言えば、複数担任制になったこと。
groep1の時は月曜日から金曜日まで1名の担任がついていたのですが、
今年度からは担任が2名となりました。

複数担任制のイメージ(JPG)

担任A先生は週4日を担当し、担任B先生は週1日を担当します。
オランダではかなり一般的らしい複数担任制。

これに加えて、週2コマの体育と週1コマの音楽には専属の教師がつきます。

研修費を使い切るために、教師には柔軟な働き方が求められる

教員1人あたり年間約10万円程度の研修費(教育のアップデート費用)がつくというオランダの小学校では、この10万円をきちんと使い切るために研修も盛んだと聞きます。

また、聞くところによると教員研修の内容は多岐に渡り、ほぼ参加型。
ほとんどの研修が、いわゆる座席に座って講話を聞くというものではなく、コーチングを専門としている企業の研修を受けたり…というように、企業とのタイアップ研修も多いとのこと。

そうすることで、オランダの教員は「社会に開眼した姿勢」を維持できるのかもしれません。
「教育に関する研修は教育者から」という考えではなく、子どもたちの未来に必要な知識や視点はあらゆる方面からどんどん取り入れようという姿勢がうかがえます。

また、年間10万円の研修費を使い切ろうと思えば、学校を離れて研修に出向く回数も必然的に増えます。
そういった意味でも、教員は学校の外の空気を吸える教育環境に身を起き、学校は働き方や校内の人員配置を柔軟化させているのかもしれません。

複数担任制で困ることはほとんどない

当然のこととして始まった複数担任制の新年度ですが、担任が2名いることで困ったことは何一つありません。
というのも、オランダの多くの小学校では学校と保護者を繋ぐアプリが用意されていて、保護者自身が「◯◯先生と(だけ)やり取りしている」という感覚は持ちにくくなっています。

<保護者> 対 <学校(複数担任)>
という中で、保護者は担任への依存がそれほどありません。

あえて一つだけ困ることと言えば、学校帰りに子どもが直接友達の家に遊びに行く時に、そのことを担任に知らせる必要がある。ということでしょうか。

例えば、朝に保護者と子どもたちの間で、
「今日、学校帰りに◯◯(娘)、うちの家に遊びにおいでよ〜!」
という風なプレイデートの約束ができると、
私はその日のうちに学校に連絡をする必要があります。

「今日、◯◯(娘)を△△(友達)のママがピックアップしてくれるので、よろしくお願いします!」
というような連絡です。

これがなければ、担任は下校時にうちの子どもを本当に友達のママに預けて良いかがわかりません。よって、この連絡は必ずいります。

そんな時、
「えーっと、今日は木曜日だから◯◯先生にメールしておかないと」
と、曜日に合わせて連絡する先を考えなければいけないようになります。
(逆に言えばこの程度のこと…です)

思いつくのはそれくらいで、それ以外の部分で複数担任制であることに不便を感じたことはまずありません。

そもそも、担任への依存度がそれほどない

よく考えてみれば、娘が通う小学校では日本のように「学級通信」が印刷して配布されることもなければ、連絡帳もなく、子どもたちが学校から配布物を持ち帰ることがほとんどない…というか新学期が始まってから、まだ一度もありません。(大量の成果物(絵など)は持ち帰ってきますが。笑)

これは5歳という年齢上そういった配慮がされているのかもしれませんが、「学年が上がっても保護者に渡すプリントはあまりないよ」と、小学校で働くママが言っていました。(オランダの子どもたちが保護者にきちんとプリントを渡すとはあまり思えませんが。←)

クラスの活動に関する全ての情報は学校のHPに掲載されており、保護者は「受動的」ではなく、「能動的」にその情報を手に入れる必要があります。

つまり「学校が◯◯をしてくれない」という環境ではなく、保護者は自分の子どもに関して必要な情報は自分で取りに行く必要があるということです。

そういった意味では、必要不可欠な情報を除き、保護者は学校の情報にアクセスするためには常に「能動的」であることが求められ、学校は必要な情報をオンライン上に上げることが仕事だと言えます。
担任への依存度が少ない教育の中では、教職員が目の前の子どもたちのことに集中できる時間が増え、研修などにも精力的に参加できるのではないでしょうか。

複数担任制のメリット

子どもたちの成長を考えると、私は「複数の目」で育てることがとても大切なことだと思っています。
そういった意味では、娘の担任が複数に分担されているのは先生にとっても子どもたちにとっても良い効果をもたらすのではないか、と感じます。

複数の目で子どもを多角的に観察することで、視点を多く持つことができる上に、子どもたちも「いろんな先生」から様々な視点を得ることができるからです。

もちろん担任が複数名になることで責任や使命感が薄れてしまうことは、起きて欲しくないことではありますが…
そこは学校がチームワークやチームビルディングを通して取り組まなければいなければいけない課題と言えるかもしれません。

新しく始まったgroep2の新学期。
学校閉鎖も危ぶまれる日々ではありますが、どうか平穏に日々が過ぎて欲しいと祈るばかりです。

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