【オランダ】初めてもらった通知表

すっかり涼しくなって過ごしやすいです、こんにちは、アムステルダムの有川です。

7月3日からスタートした1ヶ月半の夏休みが無事に終了し、今週から学校がスタートしました。
8月前半は、長引く熱波に打ち勝つべく水のようにビールを飲む日々でしたが、もう学校も始まったので、ランチビールを当たり前に飲む生活はおしまいです笑!
涼しくなってくれたのがせめてもの救い…

(登校初日、通学路に突然出現した大きな看板!「私たちは学校に戻ります」と書いてあります。キックスクーターで登校している絵がオランダらしいですね!)

さて、夏休み前のことに戻ってしまいますが、オランダ語習得を目的としたニューカマークラスに所属している6歳の長女、年度替わりを前にレポート(通知表)をいただきました。

その言葉の意味の通り、娘の現況、到達度を報告するようなものです。
1枚目のレターに、
「コロナクライシスによって、今回はいつもと異なるレポートを受け取ることになります。」
と書いてあるので、何かが通常と違うらしい。

…が、今回が初めての私には違いがわかりませ〜ん!

ちなみに、全部オランダ語で書いてあります…そりゃそうか。
外国人クラスのため、コロナに関する重要連絡の時は、オランダ語だけでなく英語とスペイン語でもインフォメーションしてくれていたので淡い期待を持ちましたが…オランダ語勉強せいっちゅーことです。
数十年前の通知表のイメージで止まっている私にとって、娘の通知表の表記はとても興味深いものでしたので、少しご紹介しようと思います。

●多面的・多角的な学習評価

まず、他者評価だけでなく、自己評価のページがあるのが衝撃的!でした。
教師からの評価を一方的に伝えられるものが通知表という形式だと思い込んでいましたが、学習者の主体性が大事にされ、学習評価が双方向的であるのはとても素敵だな〜!と感じました。

学習者にリフレクションの機会があるのも学習過程において良い影響があるように思います。
自己分析の癖をつけていくことで、今後のプランも可視化しやすくなりますよね。オランダの教育の特徴でもある”自己決定する力”に繋がっていくように思います。

(自己評価の頁、まずは自分の似顔絵から!

また、評価方法は一種類ではありません。いわゆる「質的評価」「量的評価」の両方があり、項目も多様です。
学習評価が多面的・多角的であることは個人的には大賛成です。

昨日たまたま、中学生でオランダに移住してきた日本人の高校生と話す機会がありました。
「ずっと美術が5だったのに、先生が変わった途端に4になった、すごくムカついた!」と言っていました。私は変わっていないのに、先生が変わると評価が変わるなんてなんて理不尽だと。
しだいに日本の学校がつまらなくなり、オランダに来たそうです。(すごすぎる!)

確かに、一人の子供の力を、数字一つで表現するのには無理があるように思います。その数字を出すために、様々な評価努力とプロセスを経ているのなら、むしろそのプロセスを伝える方が納得感があるのではないかと、彼女の話を聞いていて思いました。

●通知表(レポート)の詳細

レポートは大きく分けて4項目ありました。

1つ目は、”行動観察”です。
6つの観点について、「頻度」で報告されています。
例えば、「他のクラスメイトのしていることに関心を持つ」に対して、「No / Sometime / Often」のいずれかにチェックが入っているといった感じです。

私がその昔もらったことのある通知表は、「大変優れている・優れている・努力を要する」「優・良・可」など、評価者の価値判断が前面に出るものでした。
「頻度」という尺度は、アンケートでよくあるなという感じで、新鮮!客観性が担保されている気がして受け止めやすくて良い、と個人的には思います。

2つ目は、”認知”・”言語”・”社会的感情”・”学習態度”の4つの観点について、「ネガティブ」「ポジティブ」双方の側面から、先生のコメントの記載があります。同じ観点に対し、良い点と悪い点の両方の角度からアプローチするのがとても面白いと思いました。現時点での子どもの評価を「一つ」に定めたいわけではない。良い点も改善点もただ伝えて次につなげていく、そんな風に感じます。

”言語”については、良い点悪い点ざっくりまとめると、
「長女はシャイで、おそらくそれは日本のカルチャーのためだが、直接的に話すことを求めると上手に話すので、シンプルで実用的なセンテンスを覚えましょう!」
とのこと。

日本のイメージよ…シンプルで実用的なセンテンスは私も知る必要があるので、これからの我が家の課題にします!

”社会的感情”の項目が母としては感動でした。
これまたざっくりまとめると、
「うまくいかないこと、分からないことがあると先生にとても上手に伝えることができています。彼女は他の生徒たちから愛されています。生徒たちは、彼女と一緒にいたいと思い、同じ列に立とうとしています。ただ、その全てを受け入れているので嫌な時には嫌だと言う必要があります。」

自分一人で頑張っていることもさることながら、オランダ語が話せなくても、お友達に受け入れられているんだと、すご〜く安心しました。
どうやって先生に不明点を伝えているのか長女に聞くと、分からない箇所を指し示して小首をかしげるそうです。
やるじゃないか。想像しただけでかわいいじゃないか。
嫌だと伝えることが今後の課題です。

(学年の最終日には、先生に贈り物をするのがオランダ流。次女は先生にお手紙を書いていました。)

3つ目は、具体的に何がどこまで進んでいるかの量的な”アセスメント”の記載です。
読み・発音・文字の認識・音の聴き取り・文字の書き取り・算数…
これらについて、どこまで進んだかがDLEという単位で記載されています。
私の理解が正しければ、DLEは何ヶ月分に相当するレッスンを受けたか進捗を表す客観的な単位で、理解度を示す単位でありません。
DLE10=グループ3(1年生)に相当、DLE20=グループ4(2年生)に相当、というように換算するらしいのです。

オランダ語が分からなくても取り組める算数だけがやたらと進んでいましたけど笑 …

そして4つ目、通知表の最後には、先生からの総評がありました。
コロナクライシスで、スタートが遅れてしまったので、長女は来年の夏休みまであと1年間ニューカマークラスに所属し、グループ4(日本でいう2年生)の段階まで出来るだけガイドしたい、とのことでした。

あと一年間、姉妹別々の学校。
送迎…
頑張ります…

次回は、このレポートを受けて先生とのオンライン面談がありましたので、その様子についてお伝えしたいと思います。

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