【オランダ】やっぱり泣くよね初登校・次女編

こんにちは、最近自転車のギアがどんどん上がって脚力がついてきました、アムステルダムの有川です。

オランダ人の自転車のスピードはびっくりするほど速いんです…
いまだに混雑している時間と場所で自転車に乗るのは怖い。
私の脚力はいつ頃オランダレベルに仕上がるでしょうか…

さて、2月のことです。

家から1番近いドルトン・プランの小学校に登校することになった4歳の次女。
1年弱通った日本の幼稚園でもほとんど毎日泣いていたので、覚悟はしておりましたが…初登校はやっぱり泣きました。

日本の幼稚園生活では、楽しそうなお友だちをうらやましく思いながら、
「なんで我が娘はいつまでも泣いているんだろう…」
そんな焦りや悲しみがありました。

今思えばどこか母子ともに無理して、幼稚園にアジャストさせようと一生懸命になった結果、歯車が狂っていたような気さえします。

でもここは突然連れてこられたオランダ。

「言葉もルールも何もかもわからない、ママだって泣きそう笑、娘が泣くのは当たり前。本人が自信を持って行けるまで、次女のペースに根気よく付き合おう!!」

そう心に決めて初登校に臨みました。

ちなみに2月はまず週2回、午前中だけ。
その間、一週間の春休みがあり、3月の半ばには学校が閉鎖されたので、数えるほどしか登校していません。

登校初日は、私もずっと一緒に教室にいました。
途中、「今日離れられそう?」と先生に聞かれたので、「無理です。」と即答。
私が少しでもどこかに行こうとするもんなら、半泣きで「ママ〜!!!」と言うのでトイレにも行けまへん。

でも、そんな娘のおかげで、私も授業を初体験できたのが大きな収穫でした!
(現在、新型コロナの影響で保護者は校舎の中に入ることすらできないので、本当に貴重な体験となりました。)

午前中はだいたい「朝の会→個別学習→おやつ→外遊び 」こんな流れで進んでいきます。

まず、教室に入ると、大きなモニターに映る自分の写真をタップして出席を記録します。
出席簿しか知らない私からしたらそれだけでもハイテク!と驚き。

ママと別れがたく泣いている子もチラホラ。
ママたちは、子どもが落ち着くまでハグだのキスだの絵本を一緒に見るだのして、朝の会がスタートするころには帰宅します。

怒ったりしないんだなあ…
私はかつて、もうっ!と怒った日もあったなあ…と反省。。

ママが帰ってもまだ泣いている子は、先生が膝に乗せたり、隣に座らせたりしながら、皆で先生を囲むように車座になり、朝の会がスタートします。

オランダ語なので詳細はちんぷんかんぷんですが、私が一番面白いと思ったのは、曜日を言う活動です。

当番の子がクジを引き、クジに書かれた名前を呼びます。
呼ばれた子が前に出て、円グラフのような7色の図を見ながら、月曜日、火曜日、水曜日…と曜日の単語を言っていくんです。(午前・午後も言っていたような…。)

これは毎朝必ずやります。
まだうまく言えない子の場合は、「ヘルプ〜」と言って、その子が自分自身で指名したお友だちに助けてもらいます。
そばで囁いてもらいながら一緒に言うような感じでした。

この活動、最初から最後まで「先生からの直接指名」がうまく避けれられています。

<先生と子ども>という非対称性による教育問答ではないため、たとえ答えることができなくても張り詰めた空気になりません。
助けて欲しい子ども自身が声をあげ、助けたい子がたくさん手をあげて、主体的・協働的に学び合うような構造になっており、そこに先生は介入しません。

異年齢集団(2学年が一緒のクラス)なので学習の度合いに差がありますが、それをポジティブに活用しています。

曜日の単語を必死に覚える必要があるというよりは、この「自律的かつ協働的な学習態度」の方を身に付けるために毎日やっているのかな、そう感じました。
(ちなみに挙手は右手人差し指を上に掲げます。日本のような右手の挙手はナチス式敬礼となるためです。)

朝の会は他に、

  • 当番の子が図書室から本を選んできて教室内の蔵書と入れ替える(これは週一で行う)
  • 先生の絵本読み聞かせ(先生の鶏の鳴き真似がうますぎて引くレベルでした…)
  • サークル対話(おそらく「週末何してた?」を一人ずつトークしていました)

こんな感じだったと思います。
そして朝の会のあとは、個別学習へ。

好きな教材、もしくは先生と決めた課題に各自取り組みます。
次女はパズルを選んで熱心にやっていました!

個別学習の時間、パズルを物色

二人組でクイズをやっている子、ブロックをする子、おままごとをする子、お絵描きする子、パソコン学習をしている子もいました。
日本の幼稚園には子どもが使えるパソコンはなかったので、同年齢でちゃっちゃとデジタル学習している姿には驚き!

そしてその間、「静かにする時間」が設けられていたのも印象的です。

先生が壁にかかっている絵を裏返して緑からオレンジにすると、静かにする時間になります。そして緑に戻すとにぎやかにしてもよくなります。

助け合いながら共鳴し合いながら学ぶ時間だけでなく、自立的に探求する時間も意識的に作られています。

さらに、先生が直接号令するのではなく、教具を使って間接的に指示を出す仕組みは、学習者の自律性を促しているように感じました。

このパズル、私もやりたい!

長女の学校も次女の学校も「異年齢集団で個別学習ベース」のようですが、それと真逆の「同年齢集団で集団学習ベース」で育った私には何もかもがとにかく新鮮でした。

同年齢で皆が同時に同じ学習をする場合、どうしても、落ちこぼれ(出来なすぎる)や吹きこぼれ(出来すぎる)が生じます。
でも、発達幅が担保された異年齢構成、さらに個別学習ベースでは、集団の速度を絶対とせずに学習することができそうです。

オランダでは主体的に留年することもよくあるとのこと。
そう考えると、我が家のように言語的ビハインドがあっても、必要以上に引け目を感じずに娘のペースを作っていくことができるかも…?と淡い期待を持ちました。

この期待は今後どうなるでしょうか…。

2月中は、毎回先生と話しながら次の登校のことを決めていくことができました。

「最後までいる→外遊びの途中で帰る→外遊びの前に帰る→おやつの前に帰る→個別学習の前に帰る」

このように段階的に私が一緒にいる時間を少なくしていき、3月に入った頃には皆と同じように朝の会の前に帰宅することが可能になりました。

私とのお別れの時は必ず泣いていましたが、先生いはく数分で泣き止み、その後は先生のそばを片時も離れずにいるそうです。けなげ…

 そのうち、次女も次女なりに考えて、
「朝はパパに送ってほしい」
と言うようになりました。

 「そのほうが泣かなくていいから!!!!」
…なんでしょうか、なんかパパかわいそうっていう笑。

彼女自身がそう決めて、パパにチェンジしたその日から、彼女は一度も泣くことなく登校しています。

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