【イングランド】ルールを破ってもいい特別な日

私には2人の子どもがいます。
イギリスの英国教会系小学校に通っているYear 3の長男とYear1の長女です。

ある日、学校から届いた保護者への連絡メールの表題に「Break the Rules Day」と記載されていました。行事連絡のようでしたが、とても不思議な文言に感じられました。昨年まではコロナ禍での交流制限の中にあって学校行事が殆ど制限されていたので、日本から渡英した私たちにとって初めて聞く学校行事名でした。

「ルールを破る日」とは、イギリスの各地の小学校で行われている行事のひとつで、慈善活動と関連しています。イギリスの公立小学校には制服があります。小学校3年生からネクタイを自分で結ぶことや着崩しがNGなど、想像以上にルールが厳しいのです。しかしなんと、この行事では学校側から「破ってもいいルールリスト」が送られてきます。

子どもたちはそのリストから破りたいルールを選択し、それぞれが破りたいルールひとつひとつに対して50ペンスほどのお金を支払い、PTAに寄付するシステムになっています。通貨変動により金額は異なりますが、日本での50円くらいの物価感をイメージしていただければ良いかと思います。

ルールを破るといっても先生の手をわずらわせるような非行ではなく、他愛も無く笑いあえるような可愛らしいいたずらです。例えば、

・スプレーで青色に染めたクレイジーな髪型で教室に入ってくる
・フェイスペイントやメイクアップをする
・パンクな髪型にセットしてもらう
・靴下の色が右がピンクで左が黒など別々の色使いを楽しむ
・制服と私服をミックスしたコーディネートを楽しむ

そしてルールを破った分だけ子どもたちが学校に対して寄付するのです。そのお金はPTAに渡り、別の機会でパーティーや行事などの形として子どもたちの楽しみや喜びに再び還元される仕組みです。

そこで私の子ども二人にどのルールを破ってみたいかと質問をしました。

兄は「ルールを破るのが好きじゃないからいつもの制服で登校する」、妹は「じゃあその日は学校に行かない (確かにbreaking the ruleですね!)」と、想定外の答えが返ってきてうろたえる母親なのでした。

結局、兄は「Breaking the Rule Day」にルールを一切破らないという逆転の発想のルール破りでイベントに望むことになりました。妹は普段履いている真っ黒の学校指定靴ではなく、大好きなピンク色の靴にピンク色の靴下を合わせてコーディネートすることになりました。

学校へ行ってみると、パンクアーティストのように髪の毛を逆立てた子やパーティ用のスプレーで髪の色を一時的にピンク色や水色に染めた子どもたちが楽しそうに笑い合っていました。いつもの朝なのに、まるでハロウィンのように華やかな一日でした。

ハフポストUKの取材で、アルダースブルック小学校のブライアン・ヒューズ校長はこの「ルールを破る日」についてこう語っています。

「学校で一日「ルールを破る」という考えは、子供たちにとってクリスマスと同じくらいエキサイティングなのです」

普段の日常でルールが厳しいからこそ、特別な日にルールを破る楽しみが大きくなるということのようです。緩急をしっかりつけるとは正にこのことで、そこから生まれてくる楽しさやクリエイティビティのことをしっかり尊重してあげたいと思いました。

そしてもちろん、ルール破りの日にルールを守りたい子どもの気持ちも、等しく尊重されてよいのだと思います。

それが互いを尊重する気持ちにつながるのだろう、としみじみ感じさせられたひとつのイベントでした。

“By all means, break the rules, and break them beautifully, deliberately, and well.” — Robert Bringhurst

志村 美代子

Miyoko Shimura

  • 居住国 : イングランド
  • 居住都市 : バーミンガム
  • 居住年数 : 2年
  • 子ども年齢 : 8歳 、6歳
  • 教育環境 : 現地公立小学校

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