【オランダ】オランダで見た、様々な「家族のかたち」

オランダに来て驚いたのは、家族の在り方の多様性についてです。
今日は今まで出会ってきた家族について書きたいと思います。

IKEAで出会った同性婚の夫婦

オランダに移住してから、家具の買い出しでDelftにあるIKEAに行くことが何度かありました。
オランダのIKEAではインターネットで全てを注文することができ(植物等は除かれる場合もありますが)、何品注文しても501kgまでなら送料は€39です。(2020.08.11現在)

娘がIKEAが好きなこともあって、よく2人で出かけていました。

おもちゃエリアで娘を遊ばせていた時、双子の子たちとが娘と仲良く遊びだしました。私は近くで見守っていたのですが、私の横にママらしき人が座ってきたのでした。

「こんにちは。IKEAは子どもたちにとってパラダイスよね。笑」

そんな風に話しかけられ、私たちの会話は始まったのでした。
そのママはオーガニック系のお店を経営しているらしく、食の話をしました。そして、家族の話になった時、彼女の配偶者が女性であることを話してくれたのでした。

個人的な話になるので、初対面のその時に、根掘り葉掘り話を聞くのはやめておいたのですが、色々と話が盛り上がり、連絡先を交換することになりました。

「この辺に住んでいるから、また子どもたちを遊ばせましょう!」

そう言って笑顔で去っていった素敵な女性でした。
それからプレイデートは叶っていないのですが、生活がもう少し落ち着いたらまた連絡をしてみようと思っています。
オランダで初めて出会った同性婚の夫婦に色々話を聞いてみたいです。

パートナシップを10年以上続ける子ども2人の夫婦

仲の良いオランダ人の友達夫婦(子ども2人)は結婚をしていません。
大学在籍中から付き合い、それからずっとパートナーシップで今日に至ります。子どもが生まれても関係はずっとそのままです。

「結婚はしないの?」
と聞いてみたら、
「うーん。パートナシップも別に結婚とは変わらないから、検討することさえせずにここまできたかな。笑」とのこと。

オランダでは「パートナーシップ制度」と「婚姻制度」があります。
この2種類の違いは、大きく分けると、

・結婚の宣誓
<パートナーシップ制度>→なし
<婚姻制度>→あり

・18歳未満の子どもがいない場合
<パートナーシップ制度>→裁判所の関与なしにパートナーシップを解消できる
<婚姻制度>→裁判所の介入により解消できる

What do I need to take into account if I decide to marry or enter into a registered partnership?
https://bit.ly/3ar8hHe

オランダ政府のサイトを訪れると、多くの場合、パートナーシップ制度と婚姻制度については並列で書かれています。

よって、「パートナーシップ制度=結婚」と捉えている人も多くいると聞きます。
「結婚なんて紙切れ」と、時に日本でも聞きますが、実際のところは法的な縛りも多いと思います。その点、オランダでは婚姻関係とパートナーシップ関係の間には、法的な拘束の違いもほとんどないため、そういった意味では「結婚=紙切れ」と言えるのかもしれません。

学校に関するイベントには前夫と、それ以外の生活は現夫と過ごすママ

「誰かと一緒に生きる」というかたちが「結婚」か「パートナーシップ」かを選べるオランダですが、いわゆる「別れる」という選択についても、その在り方が千差万別なのがオランダかもしれません。

ある知り合いのママは1人の子ども(6歳)を育てていますが、離婚を経て、現在は「パートナー」と呼ぶ男性と、子どもと一緒に暮らしています。
しかし、子どもの成長に関わる学校行事には前夫と一緒に出席しています。

また、子どもと前夫との関係が良好なため、子どもは頻繁に前夫のところで過ごします。
オランダにおいて、子どもがいる状態で「(パートナシップであれ、結婚であれ)別れる」という選択をした場合、どのような取り決めがあるか。ということについては、また書きたいと思いますが、日本のように「口約束」で済まされるようなことはほとんどありません。

また、その時の子どもの年齢によっては、子どもの意志もきちんと尊重されるような法律になっています。

「子どもにとって最善だとされる行為」というのを判断するのは裁判所ではありますが、保護者自身も、大人の都合で子どもを振り回さないための配慮を求められるようです。

1年程度「家庭内別居」を続け、ようやく離婚に踏み切ったママ

5歳の子どもを育てるあるママは、1年程度「家庭内別居」を続けてきました。
学校の年度が終わったところで、やっと正式な離婚に踏み切ったと言っていました。

でも、学校の送り迎えでも、子どもの行事にも、時には夫婦で参加したり、時にママだけで来たり、パパだけで来たり…ということが続いています。

要するに「親の離婚と子育ては別もの」という考えのもと、あらゆる合意形成が成されている、ということかもしれません。ここにも「個人主義」の文化が垣間見えます。

人の数だけ「家族のかたち」がある、オランダ

私が思うに、周囲のオランダ人において「別れ」という選択をした人たち(パートナーであれ、夫婦であれ)の数は比較的多いように感じます。
もちろん、教師をしていた頃にも「保護者が二人いる」という家庭の少なさに驚いたこともありました。それはクラスの1/3にものぼる数だったと記憶しています。

日本とオランダにおける「別れ」の選択における制度の違いは明らかです。
子どもがいる場合は特に「子どもにとって最善とされる選択」を裁判所が下すようです。そこには細かい取り決めや、守らなければ罰金…というような厳しい内容も含まれます。

いずれにせよ、子を持つ2人が「別れ」を選択した時、子どもを守るための法がきちんと介入することは当然のことのように思います。そうでなければ、主観的な判断で子どもが大人の都合によって振り回されることも多いからです。

オランダで見てきた「家族のかたち」は他にもたくさんあります。
今回はここまでにしたいと思いますが、この記事を通してオランダという国があらゆる面において多様性に富んでいる、という一面を伝えることができたら、と思っています。

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