【オランダ/ハーグ】我が家のバイリンガル(?)子育て記録①
最近、色々な方から、
「三島さんのところのお子さんの言語習得はどうされているんですか?」
と聞かれます。
私たちの間では「当たり前」と思ってやってきた言語にまつわることを備忘録のようにして残しておくのも良いかなと思ったので、記事として書くことにしました。
ちなみに、私たちの家庭でやっていることはあくまで「私たち」が納得してやっていることなので、他のご家庭、それぞれのお子さんに必ずしも当てはまることではないかもしれません。
また、私たちは言語の専門家ではありません。ただ、言語の専門家だからと言って、保護者として理論に則って楽しく結果につながる家庭教育ができるとも限らないのが教育だとも思っています。
<我が家の現状>
夫・・・家では日本語、オランダ語学習中
私・・・家では日本語、外では英語、オランダ語学習中
娘・・・家では日本語、学習言語はオランダ語
娘は6歳でオランダの現地校に通っています。家庭での言語は日本語で、家族では日本語を話しています。ただ、娘と2人で外に出ると私はその時の状況に合わせて、娘に簡単なオランダ語か英語、もしくは日本語で話しかけています。言語習得では「一人一言語」というのが強い説ではあると思うのですが、私は実験的にそれが娘に当てはまるかどうかを検証しているところです。
また、我が家はEdubleという日本語学習教室を運営していますが、娘は生徒の一人として指導していません。あくまで娘の日本語学習には「保護者」として関わっています。よって、ここで書いている習慣などはあくまで私たちの日常にある”保護者として”の関わり方です。
<前提として>言語の基本は家庭の力
我が家は今のところ日本への帰国予定がないので、”帰国予定者向けの学校”として運営されている日本語補習校には通う予定はありません。元公教育で働いた人間としては、「学校」と「習い事」の境界線を曖昧にしないことで、「学校」と名のつく場所の教育の質がきちんと担保されると良いなと考えています。(文部科学省:補習授業校の性格)
ということで、日本への帰国を考える子どもたち向けの学校には、それを目的とする子どもたちへの教育の質が担保されて欲しいという思いから、補習校への入学は考えていません。
海外移住を決める前から、娘はインターの保育園に通っていましたが、保育園はあくまで「きっかけ」であり、言語習得(英語も日本語も)の一番の礎は家庭にあると思って接してきました。海外移住と決めた時もその考え方は変わらず、言語習得(オランダ語と日本語)の役割を大きく担うのは保護者である自分たちだと認識しています。
そんな中で、私たちが保護者として気をつけている習慣や関わり方について書きたいと思います。
①絵本が「めちゃくちゃ面白い」と思うようにもっていく
娘が生まれてから今日までずーーっと続けている習慣があります。
それは、「寝る前の本の読み聞かせ」です。
今では歯を磨くことや、寝る前にトイレに行くことと同じくらい「当たり前」のルーティンになっている本の読み聞かせ。だいたい2冊は読むのですが、その担当は夫婦でフェアにやっています。
もちろん、外出先から帰宅する時間がとても遅い時間になった場合などはできないこともありますが、家族だけの旅行なら寝る前の絵本は持っていきます。オランダにも段ボール2箱分くらいは絵本を持ってきました。
時々「本を読み聞かせすれば子どもは本が好きになる」と聞きますが、必ずしもそうではないかもしれません。ただ単に「読み聞かせる」だけでは、子どもは本の魅力を感じないかもしれません。ということで、我が家では、「本を読み聞かせてもらうのがめっちゃ面白い!」と思えるように読み聞かせを意識しています。つまり、「明日も読んで欲しい!」「何冊でも読んで欲しい!」と思ってもらえるような読み方を心がけるということです。笑
これまで、娘が爆笑することで時々寝付きが悪くなる(たぶん脳が興奮してしまっている…)ということがあったりもしましたが(どんなけ…)、本を読む中でコミュニケーションも生まれるので、今となっては愛着を感じられるためにも我が家になくてはならない時間です。
②「文字」という世界を広げる
私たちの中で1つ「こうなるんじゃないか」という”検証したいこと”のような仮説がありました。
それは、
絵本の読み聞かせで本を読んでもらうのがめちゃくちゃ面白いと感じる
↓
(いつか)文字に興味を持つようになる(読み聞かせが影響したという訳ではなく)
↓
文字が読めたら本が1人で読めるようになると気づく
↓
本の面白さ × 文字が読める自由 = 1人で本を読む面白さを見つける
ということでした。
「必ずこうなる」と確信した訳ではなく、「こうなるのでは?!」という期待から、ずっと「楽しく面白い読み聞かせ方」を続けてきました。
③文字に興味を持つまでは絶対に強制しない
夫婦で決めていたことの1つに「文字学習を強制しない」というのがありました。というのも、日本の学習教材などを見ていると、表紙のどこかに「◯歳ごろから」のように年齢が書いてあるのですが、それに流されず、焦らず、じっと娘が文字に興味を持つまで我慢することを徹底しました。
ただ、興味を持った時に自然と始められるように、教材は用意しておきました。「やってみたいな」という適切な時に、適切な教材があること。これに関しては、ある意味モンテッソーリのような環境を意識していたように思います。
実際のところ、娘が学校でオランダ語のアルファベットを習い始めてから、日本語の「あいうえお」に興味を持つまでは、思ったよりも時間がかかりました。
一瞬「このままオランダ語だけで良いやとなるのでは?!」と思ったりもしたのですが、実際にあいうえおに興味を持ってから、カタカナ、1年生の漢字をある程度理解するまでの時間は短かったように思います。つまり、娘にとってその時間が「必要な時間」だったということかもしれません。(待っている間はちょっとドキドキです)
④「やりたい」と言ったら、できる限り近くで見守る姿勢を見せる
文字に興味を示し、本人が「やってみたい」という意思を示した時は、私はできる限り、一度仕事を中断するようにしています。娘は引っ張り出してきた紙やノート、ワークなどを持ってきて隣に座ることが多いのですが、その時ばかりはPCを傍に置いて、一旦は娘に意識を向けます。
それで、娘が自走学習できると判断した場合は、隣で作業などを続けますが、娘が「これってどういうこと?」と聞いた時はすぐに作業を止めて話を聞くようにします。
ある意味「日本語をやりたい」と言うことが流れ星ばりに「チャーンス!」だと思っているので、そのチャンスだけはきちんと大切にすることを心がけています。
⑤「やりたくない」と思う気持ちに必ず寄り添う。強制しない。
日本語は本当に大変な言語で、とにかく数が多く複雑です。しかも、「オランダに住んでいて何故日本語をやらなくてはいけないのか?」という疑問を少なからず子どもは持っています。(だって必要ないもん)
それに対して「あなたは日本人だから」という理由は正論であったとしても通用しません。無理矢理「通用させる」ことはできます。でも、それは子どもの意志を置き去りにする行為だと私たちは思っています。異国で、保護者が話さない言語で学校生活を生き抜いているだけですごいことです。だから、習得するのに時間がかかる日本語を「やりたくない」と思うのは当然のことである。と私たちは思います。
そもそも子ども自身、「やらなきゃいけない理由」を落とし込むことが大変なのに、そこに強制力を持たされたらなおさらやる気にはなりません。だから「楽しく学ぶ」が必要になってくる。
我が家では娘が楽しくできそうな教材を揃えるようにはしていますが、娘が「今日はやりたくない」と言ったらそれ以上は強制しません。「いいよ、おっけ!」と言ってすぐにやめるようにしています。
しかし、それは同時に「楽しいからやってみたい」と思えていないということでもあるのです。つまり、環境に日本語トリガー(引きつけるきっかけ)が少ないということ。そんな時は、娘の行動をよく観察して生活の中にトリガーを増やします。
基本的に娘は、一言添えれば自分でひらがなや漢字ワークを引っ張り出してきて自主的に進めているので、あまりそういったことなはいのですが「やりたくない」と言った時に「それでもやらないといけない」と言うことはしないようにしています。長く、楽しく、無理なく続けるには引き際が大切です。言語うんぬんよりも、心の声に耳を傾けられる関係であることは、今後の親子関係にも影響すると思っています。
⑥めちゃくちゃ褒める。すげー!を連発する
その代わり、娘がワークをやったり、文字を書いたり、本を作ってきた時はとことん褒めます。褒めまくります。料理の手も止めて、やっている作業を止めて、娘が見せてくれた作品を舐めるように観察します。笑
その時の娘の顔はとても誇らしく、自信に満ちているように感じます。
「私ってすごいことやってるのかな?」
そう彼女自身が思えるように。(実際にすごいし!)
多少オーバーリアクションであったとしても、めちゃくちゃリアクションをするようにしています。
とにもかくにも、子どもが頑張っていることに大きく尊敬の意を表す。
それを基本として接するようにしています!
次に続く…
書いてみると「意外と普通だな」と思ったのですが、事実、これを毎日続けるのはなかなか大変です。
でも、大切なことをきちんと大切にできるようこれからも日々を重ねていきたいと思います!
この記事を書いたボーダレスライター に
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税所 裕香子
Yukako Saisho
- 居住国 : ドイツ
- 居住都市 : ザールランド
- 居住年数 : 1年
- 子ども年齢 : 6歳、3歳、1歳
- 教育環境 : ワルドルフキンダーガルデン