《Special Report》多様性が魅力のニューヨークのインターナショナル・スクール

はじめまして、なまず美紀です。
2018年夏から、ニューヨークで息子(11)と娘(7)を子育て中です。今回から3回にわたって、私たちの体験をみなさんとシェアする予定です。

私自身の英語・海外体験

まずは、私自身の海外体験からお話させてください。
日本で生まれ育った私は、幼少期からおとなしい性格でした。幼稚園時代に、「ネイティブの先生に英語を習う?」と母親に聞かれて、「いやだ。恥ずかしい」と拒否したことが、今でも悔やまれます。なぜなら、大人になればなるほど、そして今、ニューヨークで英語をグングン吸収する我が子を見ていると、「幼稚園時代から英語を学んでいたら、人生が変わったかもしれない」と思うからです。

私が英語に出会ったのは、中学校の英語の授業。すぐに、「日本語より英語の方が、自分を表現しやすい」と気づきました。英語を好きになったおかげで、シャイな性格が少しずつ緩和され、「表現する楽しさ」を覚えたような気がします。

海外旅行は幼少期から経験していましたが、初めて親元を離れて外国に行ったのは、高校2年生のとき。学校のホームスティプログラムに参加し、ニュージーランドの姉妹校に1ヶ月通いました。
大学時代は、スタンフォード大学のサマープログラムに参加したり、カナダに交換留学をしたほか、中国やフランスの大学にも短期滞在しながら、海外体験を楽しんでいました。どこか、自分の感覚とは違う、オープンで自由な外国に憧れていたのだと思います。

「英語力ゼロ」の子ども達を連れてニューヨークへ

大学卒業後は、「英語も使える仕事がしたい」と、経済団体の国際部に就職。海外出張もさせてもらって、楽しく働いていましたが、5年目に結婚退職。その数年後に、ライターになりました。
夫の転勤に伴い、米国・ワシントンDC(3年)、中国・北京(2年)、東京(9年)と転々とし、今はニューヨークです。

息子は、0歳のときに8ヶ月だけ北京に住んでいましたが、その後は東京で育ち、代官山の私立幼稚園、渋谷区の公立小学校に通いました。
娘は生まれたときから、ずっと東京育ちで、渋谷区の公立保育園でお世話になっていました。

ニューヨークに来たのは2018年夏。当時、息子は小学4年生、娘は保育園の年長でした。特に息子は、「ニューヨークなんて行きたくない」とイヤイヤながらの渡米でした。英語に対する不安もあったのかもしれません。

息子が通っていた公立小学校では、1年生から英語の授業がありましたが、ABC程度。渡米前に数ヶ月だけ公文式の英語も受講しましたが、基礎の基礎です。話せるレベルにはほど遠い状態で、ニューヨークに来ました。娘にいたっては、”Thank you.”が言えたかどうかも怪しい、英語力ゼロに近い状態でした。

インターナショナル・スクールを選んだ4つの理由

ニューヨークでは、二人とも国連が運営するインターナショナル・スクールに通っています。国連に勤務する保護者が多いですが(夫は国連勤務ではありません)、テストと面接をクリアしたら誰でも入学できる学校です。保護者は国連職員のほか、外交官やウォール・ストリートで働くビジネスマンも多い印象です。

アメリカは公立の学校は授業料が無料、給食も無料で提供されますが、子供たちが通っているインターナショナル・スクールは私立ですので、授業料はそれなりにかかります。ですから、比較的、裕福な保護者が多いといえると思います。

子どもたちの学校をここに決めた主な理由は、下記の4つです。

●家から近いこと

車を所有する予定がなかったので、夫の職場、住居、学校はすべてが徒歩圏内というのは、絶対条件でした。自宅から学校までは、徒歩15分ぐらい。子ども達はスクーター(キックボード)で通学しています。

●知人から評判を聞けたこと

アメリカの公立校は、エリアによって教育方針や教育レベルが異なるため、事前のリサーチが大切です。私たちは、赴任が決まってから渡米まで2ヶ月ほどしかなく、公立校の比較をする余裕はありませんでした。そのため、知人が通わせていて、ある程度様子がわかったインターナショナルスクールに決めたという経緯があります。

●ESLプログラムの充実

インターナショナルスクールは、先生も生徒も、英語が全く話せない生徒の扱いに慣れていること、ESLクラスが充実していることも、海外経験が初めてだった我が子に適していると感じました(公立校でも、英語を母国語とない児童に対しての英語プログラムはあります)。

●国際性と多様性があること

私は、子ども達の成長の過程で、一度はインターナショナルスクールに通わせたいと思っていました。国籍や宗教、バックグランドの違う子達と一緒に学ぶ経験は、一生の財産になると思っていたからです。
もちろん、ニューヨークという場所自体が、多国籍な人種で成り立っている街ですので、公立校であっても、生徒の人種はバラエティ豊かです。アメリカのほかの地域の公立学校に比べて、ニューヨークの公立校は、格段にインターナショナルな体験ができるのではないでしょうか。それでも、私は、「教育内容やイベントにも国際性が反映された学校で、バラエティ豊かな体験をさせたい」という気持ちがありました。

以上のような理由で、学校選びにはそれほど迷いませんでした。
とはいえ、私たちがニューヨークに永住する予定なら、違う選択をしたかもしれません。

友だちの国籍も、先生が話す英語も多様

インタースクールの魅力は、多国籍な生徒と一緒で学ぶことで視野が広がること。国籍やルーツを3カ国、4カ国持つ子どもも珍しくありません。うちの子のように、日本国籍だけというのは、珍しい方かもしれません。いわゆるアメリカ人の子も通っています。
ちなみに、息子と娘の同級生のルーツは、フランス、スウェーデン、ロシア、ハイチ、オマーン、コスタリカ、韓国などです。さらに、先生の国籍もバラバラで、英語ネイティブではない先生も多くいます。
子ども達は、「あの先生はオーストラリアなまりだから、聞きにくい」などと言っていますが、私は、子ども達が多様なアクセントの英語に慣れることや、アクセントのある英語に偏見を持たない環境にいることは、メリットだと捉えています。

学力は、特に高いわけではありませんが、比較的のんびりと穏やかな雰囲気の学校だといえます。

インターナショナルスクールの宿命ではありますが、この学校も、生徒の出入りが激しく、毎年、各学年で数人が、親の転勤でニューヨークを離れてしまいます。
私たちも、いずれそうなります。だからこそ、1日1日を大切に過ごしていきたいと心がけています。

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