【オランダ】シンタクラースとオランダ人の本気

今日(12/5)はオランダにとってとても意味のある日です。
というのも、ついにシンタクラースがやってくるのです。

この日に向けて、イレギュラーなイベントが色々と増えるためか、学校管理のアプリの更新は増えていました。
クラフトも盛んになるため、牛乳パックを持ってきて欲しい。や、小さいライトがいる…など、各家庭から持ち寄って欲しいものなどもよくアップされていました。

体育でもイベント色が出ます。
例えば、先週はシンタクラースの仲間としてやって来る”ピート”になりきって受ける、“ピート体育の日”がありました。
ピートの服装もしくは帽子を被ったりして体育を受ける。という日です。笑
娘は嬉しそうにピートの帽子を被って授業を受けたそうです。←

こうやって、教科が横断的に授業のテーマを揃えたり、共通項に基づいて授業が繰り広げられることは、学びの質が上がり、子どもたちにとっても混乱がないと聞きます。

そして、今日(12/5)はオランダ中の小学校にシンタクラースがやって来る日。
本当に、”どの小学校にも”来るのだそうです!!!
(そう思うと、一体何人のシンタクラースがいるんだい。となってしまうわけですが)
もちろん娘くらいの年齢の子どもたちは目の前のシンタクラースが”唯一の”と思いながら見るわけで。そうやって1ヶ月も前からこの日まで、子どもたちに夢を持たせ続けるところが徹底されています。

基本的にオランダの子どもたちの12/5~12/6の予定は、
・12/5の朝、シンタクラースが学校に来る
・学校でシンタクラースのお祝いをする
・昼になったら帰宅
・家族で集まって食事をして祝う
・夜にシンタクラースがインターフォンを鳴らしてドアを叩き、見に行ってみるとプレゼントが玄関先にある!(この役を担ってくれるのは大抵ご近所さん)
・プレゼントで存分に遊ぶ
・12/6は前日にもらったプレゼントで遊ぶ時間を考えて9:20(1時間遅れ)の登校になる
この翌朝の登校時間を1時間遅くするという柔軟性。子どもたちのことを思ってくれてるんだなぁ。という感じです。

…ということで12/5の今日、娘と私は朝まだ薄暗い学校へと向かいました。
まず驚いたのは、まだ朝だというのに運動会レベルのスピーカーが学校の外の道路に搬出してあって、ガンガンに音楽が流れていたということ。笑
しかもその音楽は日本の”童謡”みたいなものではなく、クラブミュージック化したシンタクラースのテーマ曲たち。(いわば、クラブミュージック。爆)

朝からズンドコズンドコ言うてますけど、いいんすかー!!
子どもたちはピートやシンタクラースの衣装などに着替え、音楽に合わせて踊っていました。彼らにとっては、ここまで何回も聴いてきた曲なのです。

しばらくしてだいたいの人数が集まると、担任の指示で校舎前の公道で定位置につき、シンタクラースとピートの到着を待つのです。
小学校によっては表の道が大通りだったりする場合もあるため、警察も出動するそうで。笑
とにかく、どの学校にもきちんとシンタクラースが出現する。というのを守るための本気がすごい。

そして待ちの時間の音楽もガンガン。笑
だいたい、日本の学校行事(運動会や文化祭など)の場合は、スピーカーを屋外で使う時、
「本日は周辺近隣のみなさまにはご迷惑をおかけします」
と、校長が一言添えて行事を実施したり、
それ以前にお知らせの手紙を近隣のポストに入れたり…というような感じで、
「ご迷惑をおかけします」という一言が必要な場合が多いです。

ひょっとすると娘の小学校もそのような配慮を近隣住民にしているのかもしれませんが(いや、そうとは思えない)このオランダの小学校の自由さと、それを受け入れる近隣住民の寛大さに感銘を受けました…
子どもたちを想う気持ちがひしひしと伝わってきます。

しかも、その学校の前の通りにはこれから出勤する一般の人たちの車も停車してあったりで、車の出入りも頻繁にあるのです。
しかし、そんなことはおかまいなし。みんなそれぞれに踊り、歌うのです。笑
誰1人としてクラクションを鳴らしたり、嫌な表情などせず、道路沿いでシンタクラースたちの到着を今か今かと待つ子どもたちを優先させてくれていました。

また、公道に面して待機している訳ですが、生徒たちが飛び出さないように虎ロープを使ったり…ということもありません。
そうやってルール化しすぎないところも、自主性を育てる面では良いな。思うのでそした。

さて、そうこうしているうちについに向こうの方からシンタクラースたちがやってきました。
しかも何で来るのかと思えば、トゥクトゥクみたいなのに乗ってるー!!!笑
ちょっとシュールすぎて笑う私。いや、トゥクトゥクて。
高学年の前を通り抜け、最年少学年の前でトゥクトゥク(?)は停車し。
シンタクラースと2名のピートが降りてきました。
子どもたちは被ってきたピートの帽子を反対向けにして、配られるお菓子をもらいます。
そして、お菓子が一通り配り終えられたところで、校長からインタビューを受けたりしていました。
その後、シンタクラースは校長に連れられ校舎の中へ。
高学年から順に子どもたちも教師に連れられて校舎へ入っていき、保護者たちも解散でした。

今日はシンタクラースイベントの日なので、いつもの授業はなく。
しかも昼(12:00)まで授業なので、結構すぐにお迎えに来ないといけません。

数時間後娘を迎えに行くと、頭にはシンタクラースの王冠をかぶり。
今日のために作ったのであろうクラフト作品を持ち。
学校からもらったプレゼントを抱えて嬉しそうに立っていました。

今日はスナックも飲み物も持たせなくて良いと連絡があったのですが、
娘曰く、スナックを配られ、飲み物ももらい、ピートと体育館でダンスをし、
シンタクラースにちなんだたくさんのアクティビティをしたそうです。

子どもたちにとっては、大切な、大切なパーティーの日なのです。
娘の学年~7歳くらいまでは、学校からプレゼントをもらったようですが、
それ以上になるとクラスでプレゼント交換をするそうで。
しかし、そのプレゼントは既製品ではなく、予め決められたパートナーにちなんだものを手作りするのだとか。

例えば、ホッケーを頑張っているパートナーなら、手作りクラフトホッケーセットをあげる。というような感じです。
そういえば、子どもたちは登校時、何やらゴミ袋に入った大きな作品をたくさん持っていました。
既製品ではなないところ、相手を想って何かを作るところが素敵です。

本来ならこの日の夕方にシンタクラースの役をしたご近所さんのピンポンダッシュにより玄関でプレゼントが発見されるのですが、うちはこの日の朝に暖炉にプレゼントを置いておいたため、帰ってからはそれで遊んだり、映画を観たり…いつもと何ら変わりのない日を過ごしたのでした。来年はもう少しイベントらしいことをしたいな。と思います。

ちなみに、オランダ人家庭の多くにとっては、“シンタクラース>サンタクロース”のようで。
クリスマスとは家族で集まりディナーをし、小さなプレゼントをもらうだけの日。として設定している家庭も多いのだとか。
よって、オランダ人家庭にとっての冬の一大イベントは今日で終了。

もう朝の番組”Sinterklaasjournal”は観られないのか。と思うと少し寂しくなりますが。
我が家はクリスマスを楽しむ準備をしたいと思います!

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