【オランダ/ハーグ】オランダの教育 ≠ イエナプラン教育

こんにちは!暖かい日が続いています。
今週は25度まで気温が上がり、街ゆく人が半袖を着ています。…と言っても湿度は低いため、(個人的には)影に入ると寒いので長袖を着ています。

私は京都出身で、職場は大阪だったので夏は盆地の暑さや都市部独特のコンクリートから湧き上がる「うだるような暑さ」を経験してきました。

一方でこの国は湿度も低く、真夏でも日本の夏で着ていたような装いで出かけると、正直なところ私はちょっと寒さを感じます…

「イエナプラン教育に興味があります!」というメッセージをよくいただきます

ここ最近、教職員向けのオランダ視察などを企画しているのもあって、教職員や教育に関心をお持ちの方からたくさんメッセージなどをいただいています。

その中に多いのが、
「イエナプラン教育に興味があるので、教えてください!」
というものです。

…ごめんなさい。まず、私はイエナプランを専門にはしていません。さらに言うと、私はあまり「教育モデル」にこだわってこの国の教育を見ていません。期待させてしまってごめんなさい。

ちなみによく頂く質問に、私の娘が通っているのはイエナプランの学校か?というのがあるのですが、イエナプランでもなく、モンテッソーリの学校でもなく、「ごくごく一般的な小学校」に通っています!もちろんこだわりを持って選んだ学校ではあります。

日本ではイエナプラン教育というのがすごく注目されているのは知っています。私もここへ来る前はオランダに関する本がイエナプランに関する本ばかりで、読み耽っていた時期がありました。

ただ、繰り返しになりますが、私はイエナプランを専門にした人間ではありません。どちらかというと、教職員の働き方や考え方、チームの在り方、そしてそれが教育に与える影響に興味を持っているところもあります。

もしイエナプランに強く興味をお持ちなのであれば、それを専門とされている方や研修などもあるようなので、そちらに参加されてみるのをオススメします!

さて、オランダにおけるイエナプラン小学校の数は

政府が管理しているあるサイトによると、支援学校なども含めて、オランダには約7000の小学校が存在します。

“イエナプラン”と名のつく小学校はそのうち約180校。つまり、約4%のイエナプランと名前のつく小学校が存在することになります。

この数は皆さんの想像より多いでしょうか、少ないでしょうか?

よく、「オランダ=イエナプラン」と称されますが、実際のところはイエナプラン教育の存在も知らない保護者も多いです。同様にモンテッソーリと名のつく小学校も同じくらいの数で、意外と多いのはドルトン教育の小学校。その数は約300校に及んでいます。

ドルトン教育って?と思われる方のために、東京にあるドルトン東京東京学園のサイトをご紹介しておきます。

ドルトンプランとは – ドルトン東京学園 中等部・高等部

誤解されないで欲しいのは「数が少ないから良い教育モデルではないのでは?」ということが言いたいのではないということです。どの教育モデルにも素晴らしさがあって、魅力があります。

私個人のスタンスとしては、あくまでも「いろんな教育モデル」をバイアスなく視察し、観察することを大切にしたいと思っています。

様々な教育モデルが共存する教育制度

オランダには学区制がなく、日本で言うところの住民票に基づいて通学する学校が決められることがありません。よって、学校側の都合はあるものの、その家族の価値観で学校を選ぶことができます。

個人的に、この国の教育の素晴らしさは「教育モデルの多様性の共存」にあると思っている私としては、それぞれの家庭が独自の判断基準を持って学校を選べることに「教育選択の自由と責任」を感じています。

もちろんそこに対して、国としての課題もありますし、社会としてのチャレンジもあります。ただ「自ら選べる」という機会が等しく誰にでも与えられている中で、教育と制度がその課題にどう立ち向かっていくのかを興味深く見ています(どこの国でも課題や問題点はあるものです)。

「教育モデルってそんなに大切ですか?」と言う先生たち

この意見には賛否両論があるかと思いますが、私が「日本ではオランダといえばイエナプラン教育だと認識されているところが強いです」と話をすれば、イエナプラン教育の先生たちは「そう聞きますね」と嬉しそうです。そりゃ、自分たちの信じる教育が他国でも評価を受けているということは彼らにとって嬉しい情報だと思います。

一方で、オルタナティブ教育の学校であっても、一般的な小学校であっても、先生たちはあまり「教育モデル」にこだわりすぎていないことに気付かされることもあります。

ある校長先生は言いました。

「もちろんチームとして教職員が働き、教育に共通の理念を持って臨むことは大切です。でも、教育モデルを超えた先に教育があるのも事実ですね」

当たり前に聞こえるかもしれませんが、本当にその通りです。
そして、この校長先生がおっしゃりたかったのは、「教育」という言葉の中には教職員のチームワークが欠かせないということでした。

いくら素敵な教育モデルを学校が設定していたとしても、チームがバラバラであればそれは達成されず、その先にある教育には到底辿り着けない。教育とは子どもたちに向けたことだけを指すのではなく、教職員が働く雰囲気やチームワークのことを指すのだと多くの校長先生はおっしゃっています。

「教育モデルの先にある教育」を見ませんか?

今回企画している夏の視察ツアーでは、様々な種類の学校を訪問します。日数がかなり限られてしまうので、本当にかなり厳選した学校しか訪問できないのですが、オルタナティブ教育の学校もあれば、一般的な小学校、Microsoftに登録されている小学校など、日本の小学校の先生たちとオランダの教育を多方面から見つめ直せたらいいなと思っています。

きっと、オランダの教育に対するイメージが変化すると思います。
大きな驚きや感動もあるかもしれませんが、ひょっとしたらがっかりするようなこともあるかもしれません。それもひっくるめて「学び」だと捉えています。

そして「そもそも教育って何だったんだっけ…」と根本に返り、ひょっとしたら苦しい問いへと向かうことになるかもしれません。

でも、私はそれも良いなと思っています。
私もずっとそれを考え続けながら、この国の先生たちと話をしてきました。そして見つからない「こたえ」をずっと探しています。探し続けながら、チャレンジと失敗を繰り返しながら、前に進んでいく。それがこの国が教えてくれた“learn by doing”です。

視察には時間的にも費用的にもコストはかかります。
でも、それだけの価値がある時間にするために、私も全ての知恵と経験を使って何とか良い視察にしたいと思っています。

もし、視察への興味がある小学校の先生は是非、私にご連絡をください。
そして、そんな先生たちの学びを別のかたちで支援したいと感じてくださった方は、是非クラウドファウンディングでご支援をよろしくお願いします!



「先生だって学び続けたい」
オランダの教育現場を訪れたい教職員にそのチャンスを!

この記事を書いたボーダレスライター に
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三島 菜央

Nao Mishima

  • 居住国 : オランダ
  • 居住都市 : ハーグ
  • 居住年数 : 5年
  • 子ども年齢 : 8歳
  • 教育環境 : 現地公立小学校

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