【オランダ】スポーツの語源は”気晴らし”、オランダの小学校の体育がおもしろい!

5歳の娘が通うオランダの小学校では、週に2回体育の授業があります。娘が属しているのはgroep2という学年で、オランダでは5歳から義務教育が始ります。

groep1(4歳クラス)とgroep2(5歳クラス)は時に”プレクラス”と呼ばれ、学校によっては彼らの学年を「幼稚園クラス」と呼ぶところもあります。
月に数回学校から「学校でこんなことをしています!」という風に数枚〜数十枚の写真が送られてきますが、体育の授業を撮影したものも多くあります。今日は私がいつも感動する「オランダの小学校の体育」にフォーカスをあてて紹介したいと思います。

スポーツの語源は「気晴らし」

実は”sport(s)”の語源は「気晴らし」であるということを知ったのは、私が最後に勤めていた高校でした。オランダで暮らし、子どもたちや大人を見ていると、スポーツと上手く付き合っている人たちを多く見ます。街にも健康器具を備えた公園や、スケボーやローラースケートができるように整えられた施設があり、いわゆる「ワークアウト」をできる場所がたくさんあります。

何かと自転車に乗る国民性も、この「気晴らし」というそもそもの語源の意味を生活の中にうまく落とし込めているからなのではないかと感じるほどです。

“ALO”という「体育の先生」を育てる教職大学

まず、基本的にオランダでは「小学校の先生」であっても「体育の先生」や「音楽の先生」というような特別な教科を教える教師は、一般的な教師とは異なるの教職大学に通う必要があります。
まず、ここが日本と大きく異なるところでしょう。

ALO(Academie voor Lichamelijke Opvoeding)では体育の教師がその授業を行う上で必要ある知識などを座学と実学を通して学びます。多くの学校ではその中の教科として、解剖学、生理学、心理学、生体力学、応急処置、教育学、教訓学などを学びます。また、最近ではスポーツマネジメント学栄養学にもフォーカスしている学校が増えてきているようです。

体育館のサイズは日本の半分以下、校庭はほとんどない

オランダの小学校をこれまで何十校と訪問してきましたが、その中に日本の小学校と同じサイズの体育館と校庭を持った小学校は1校もありませんでした。日本の小学校に比べると、体育館のサイズは平均して半分以下のところも多く、日本のような校庭を持たない小学校がほとんどです。

この国の国土面積から見ても、そうなることには納得がいくような気もしますが、だからと言って子どもたちの運動神経は決して悪いとは言えない…もちろん地域差などはあるとは思いますが、この国に暮らす人であれば、公園で何の気なしにバック転や美しい側転をする子どもたちを見たことがある方も多いのではないでしょうか。ごく自然にそんなことができてしまうオランダの子どもたちの気持ち?動き?はどこからくるのか…

あんなことやこんなことを体育で?!

体育がある曜日に、
「今日は体育で何したん?」
と聞いて彼女の回答に驚いたのは一度や二度のことではありません。

これまで私が耳にしたことがあるのは、

アーチェリー、フットボール、空手、柔道、クライミング、自転車、三輪車、跳び箱、平均台、フラフープ、バランスボール、鬼ごっこ、ヨガ、ダンス、体操、体育館に吊り下げられた巨大ブランコ、テニス、ゴルフ、ジャグリング、ディアボロ などなど…

これらは私が娘から聞いたものと、学校からたまに送られてくる写真に写っていたものなので、恐らく実際に体育でやっていることはこれ以上あるのではないかと思います。

50分で「色んなこと」をやらせてもらえる

アーチェリーやジャグリングなどは一見、体育ではないようにも思えるのですが、オランダの体育の授業は「好きなことを見つけること」にフォーカスしているように思います。

話を聞いていると50分同じことをやるというよりは、色んなものが用意されている中で先生と一緒に色んなものを試してみる!という感じ。

もちろんある程度の時間をかけて一つのことを練習したりすることもあると思うのですが、飽きやすい子どもたちの興味関心が散らばることも考えて、「とにかく身体を動かすことが楽しい!」と思えるよう、

身体を動かすこと=生涯付き合えるもの

として考え授業設計がされているように思います。

体育の授業の写真をご紹介

それではここで、実際にどんな様子なのかを写真でご紹介したいと思います。

「好き」を見つけるのがスポーツであり「学校の体育」

子どもたちがスポーツに、身体を動かすことに親しむ機会を体育の役割だと考えているオランダの小学校では、何かを極めることや、何かに耐えてスキルを上げるようなことを強いる風潮はありません。

あくまで全員が”それぞれ”楽しめる機会を与えることが体育の目的であり、目標は「生涯を通してスポーツに親しむ人間を育てること」にあります。

「好きなこと」は学校の外のプロに教えてもらおう!

日本の小学校でも、部活動がある学校はほとんどありませんが、オランダでは中学校や高校にも日本のような部活動をもつ学校があまり多くないと聞きます。
体育が学校教育として「スポーツに親しむ機会」を与える中で、自分が「好きだ!」と思えるスポーツに出会えた時、生徒は学校の外、つまり外部の講師である「そのスポーツをプロとして教えている人」に習うことを勧められます。

何故なら、学校の授業としての「体育」と、子ども一人ひとりが好きを極める「スポーツ」の役割は異なるからです。日本ではこの概念が混ざっていて、それが教職員の過労働に繋がっていることも確かではないでしょうか。

仕事や役割の棲み分けをきちんとすることで、子どもたちの能力や可能性はもっと伸びる。もっと伸ばせる人に、その道のプロに方法を習う。

日本ほど充実した施設を持たずとも、オランダの子どもたちが体育を、その先にあるスポーツを楽しむ姿を見て、教育の本質を見つめるその在り方に多くのことを学ばせてもらっているように思います。

この記事を書いたボーダレスライター に
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三島 菜央

Nao Mishima

  • 居住国 : オランダ
  • 居住都市 : バーグ
  • 居住年数 : 2年
  • 子ども年齢 : 4歳
  • 教育環境 : 現地公立小学校

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