【オランダ】オランダへの海外移住で失われたもの②

前回の記事では私が感じている「海外移住で失われたもの」について書きました。

オランダへの海外移住で失われたもの①

今回はその続編です。
これらはあくまでも私の個人的な意見/感想ですので「海外に移住すれば絶対になくなる」ものではありません。その点はご理解いただきながら読み進めていただければと思います。

4) 子ども/大人にとって母語で話す友人関係

インターネットが発達し、コロナを機に多くの人々は「実際に会わなくても仕事ができる」ということを理解しはじめました。
「これまでオフィスに行ってまでしていた仕事は、実は全て自宅からで完結するのではないか?」
「”会わなくてはいけない”と思っていた”当たり前”が崩れていく」
そんな経験をしている人たちも多いのではないでしょうか。

最初の記事でも書いたように、一世帯で海外に移住すると自分の親、つまり子どもにとっての祖父母と会う機会が格段に減ります。そして、それを補うかのように、オンライン通話を使って日本に住む彼らと話をするようになります。
それは、子どもにとって、そして私たちの友人関係にも言えることで、時差があることを考えると「今日本は何時かな?」と考えて連絡を取らなければいけないようになります。

ヨーロッパとに日本の時差は平均して7〜8時間程度あり、これがまた厄介です。ということで結論からいくと、自分と子どもにとっての日本在住の友人と話す機会は格段に減ります。

それをカバーするため、こちらで新しく日本語を話すご家庭と友人関係を築けば良い話なのですが、仲良くなったご家族が必ずしも近くに住んでいるとは限りません、また「日本人」という共通点があるだけであって、「日本人ですね、仲良くしましょう!」と、共通点があるだけで仲良くなれる訳でもありません。笑
日本でも「ママ友」と言いますが、「子どもを持つ母親」という共通点だけで保護者同士が仲良くなることが難しいと言う人たちもいます。それと同じことが、海外移住でも言えると思います。

5) 日本で暮らす人々と同じ感覚の食生活

これについてはその家庭がこれまでどのような食生活を送ってきたか、海外とひと口に言ってもどういった場所に位置しているかによって違うので、一概に言うことは出来ないかもしれません。

私たちが住んでいるハーグには大きめのアジア系のスーパーがあるため、お米や調味料などは比較的簡単に手に入れることができます。ただ、値段は日本で買う2倍〜3倍程度するため、日本食にこだわった毎日を送ろうとすれば必然的に食費は嵩みます。

また、味噌一つにしても選択肢は限られるため「お気に入りの味噌がない」というようなことは往々にして起こります。つまり「日本食があるだけありがたいと思え!」というような状況です。笑

海外に住んで改めて感じることですが、日本の食卓は「旬」とともにあります。そして、あらゆる季節行事には必ずと言っていいほど「食」があるように思います。
そしてそれらの「旬」の食材を手に入れることは難しいのが現状です。
もちろんそれを見越して日本の実家から食材を送ってもらう…ということも可能ですが、もちろん送料も時間もかかります。

ただ、日本にいる間には思いつきもしなかったような「食材を作る」という観点を持てるようになるのも海外に住み始めて感じる「良いところ」かもしれません。
私と言えば、最近、ご近所に住む日本人から納豆の作り方を教えてもらい、自宅で納豆を作るようになりました。そういったような感じで、漬物を漬けたり、味噌を作ったり、お餅を作ったり…と、家庭で作れるもののバリエーションを増やしている方々もいらっしゃいます。

6) 日本の日常生活にあった「当たり前」

これはあまりにも広すぎるかもしれませんが、細々としたことなのでまとめて書きたいと思います。

・100円均一の便利さ!
・スーパーやホームセンターなど、探せば何でも見つかる環境
・”言葉が通じる”という当たり前の環境(特にトラブルが起きた時)
・”言葉が通じる”ことで得られる情報(生活の知恵など

「言葉がわかる」「言葉が通じる」ことで得られていた安心感は計り知れません。今でこそだいぶ生活には慣れてきましたが、「そうだったんだ!」ということに出会うことはまだまだ数多くあります。もちろん「言葉がわからないこと」でスルーできる情報も今はまだたくさんあるので、それが精神にとって良い部分もあるかもしれませんが。しかし、いずれにせよ言語を習得できるようになればそれらもだんだん薄れていくのだとは思います。

ただ、生活を始める時や、生活の転機(子どもの就学や転校、引っ越しや転職など)を迎えると、各所とのやりとりが増えることは確かです。
そういった時に「確実にやらないといけないこと」が増え、今まで経験しなかった「言語の壁」にぶちあたります。そして、それが精神的負担になることも少なくないと思います。

…ということで、海外移住で失われたものについて2回に分けてお伝えしてきました。
これから海外移住を検討されている方や、そうでない方にも、海外で生活することで得られることと失われることのバランスを多角的に見つめていただくヒントになればと思います。

この記事を書いたボーダレスライター に
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三島 菜央

Nao Mishima

  • 居住国 : オランダ
  • 居住都市 : ハーグ
  • 居住年数 : 5年
  • 子ども年齢 : 8歳
  • 教育環境 : 現地公立小学校

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