【オランダ】大人と子どもの”幸せ”を切り離さない

clubhouseを利用するようになってから、現場の教職員や教育に興味をお持ちの方々とよくお話をするようになりました。
そこで、”私の知る限りのオランダ”についてお話をするのですが、日本の教育を「より良く」するための方法を探る中で、大人の幸福度と子どもの幸福度を切り離した議論が多いなと感じてきました。

オランダの子どもの幸福度は3回連続1位

2020年に発表されたユニセフの調査で、オランダの子どもたちは世界で最も幸福度が高いと報告されました。これは初めてのことではなく、3回目の結果です。

「幸福度なんて数値ではかれるものではない」
そんな風な意見も何度か耳にすることがありましたが、実際のところこの「幸福度」はかなり多角的に、しかもかなり明確なデータを元に測られているということが理解できました。
もちろん、全ての分析に必ずしも全ての国が含まれている訳ではないので、100%とはいきません。
ただ、
「あなたは今幸せですか?」
という曖昧な問いに対しての回答ではないということは確かです。

それらの結果について記事を書いています。ご興味がある方は是非一読ください。

オランダの子どもたちが幸せな理由<それを語るその前に>
https://note.com/naom_27/n/n893a7d30555a

オランダの子どもたちが幸せな理由①<精神的幸福度の観点から>
https://note.com/naom_27/n/n22a7bf14c47d

オランダの子どもたちが幸せな理由②<身体的幸福度の観点から>
https://note.com/naom_27/n/ned785c079347

オランダの子どもたちが幸せな理由③<スキルの観点から>
https://note.com/naom_27/n/n349b0c7145e5

「子どもを幸せにする」ことばかりに執着していませんか?

clubhouse上には、
「これからの教育を考えるルーム」や、
「子どもたちの主体性をどうやって育む?」など、子どもたちの将来を考え議論するためのルームが多く存在します。

もちろん、大人自身が自分の人生をどのように導いていくか。というような、「大人の幸せ」に関するルームもたくさんあります。

私は自分の興味や職業柄、子どもたちの将来や未来について語られているルームに入ることが多いのですが、そこでの議論の中心にいるのはいつも子どもたちや生徒です。教育を考えることは未来を考えることだと私は感じているので、その議論にはとても意味があることだと感じています。

しかし、一方で「子どもたちの幸せ」と「大人の幸せ」が切り離された状態で議論が進んでいるな。と感じることも多くあります。

オランダの子どもたちは幸せなのか?

オランダの子どもたちは世界一幸福度が高いと言われていますが、実際のところは「超不幸でもなく、超幸せでもないが、人生には満足している」というところに値する子どもたちが多いということでもあります。自殺するほど人生に悩み、将来を悲観している子どもたちが比較的少ないことはいいことですが、それが「毎日幸せだと感じている子どもたちがさぞかしいっぱいいるんだろう!」ということにはなっていません。

最初にも書いた通り「あなたは幸せですか?」という曖昧な質問に対する回答ではないことは確かですが、数値的に見て「とりわけ不幸」だと感じる要素も少ない。それがオランダの子どもたちの現状なのです。

子どもたちの幸福感と切り離せないもの

「子どもの幸福度が高い」と聞くと、教育政策が良いとか、子どもの学習環境が恵まれているとか、教師の資質が高いとか、どうしても「教育」という目線ばかりが強くなりがちな気がします。

確かに、日本と比べるとこの国は国土面積も小さく、人口も少ないこともあり、教育政策などが早く浸透しやすいことは確かです。とても小回りがききやすい国だと感じています。
また、EU加盟国として周辺国との連携もあることで、考えや価値観が国内だけで凝り固まることがなく、互いにあらゆるものを監査しあっている国の1つとして動いています。そういったところは日本と大きく異なるところでしょう。

また、そういった良い影響が教育にもたらすアドバンテージもとても大きく存在していると思います。

しかし、教育だけがこの国の子どもたちの幸福度を上げている訳ではありません。そこに大きな影響を与えているのが「大人の幸福度」です。

オランダの大人たちは幸福か?生活に満足しているか?

OECDによる”Better Life Index”には、各国のWell-being(幸福度)に関するデータが掲載されています。

OECD Better Life Index – Netherlands
http://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/netherlands/

このデータによると、OECD平均に比べてオランダは多くの項目(仕事や稼ぎ、住居など)で平均以上を行き、特に「ワークライフバランス」においては1位となっています。

一方で平均以下の数値となり指摘される点については、
・収入ギャプが発生していること
・富(財産や資産)の少なさ

が挙げられています。

これについては、他の国の情報も見ることができます。ご興味がある方は是非ご覧ください。

OECD Better Life Index – Japan
http://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/japan

また、世界各国の国々にとって2020年がどのような1年だったかというデータも見ることができます。

How’s life in 2020?
http://www.oecd.org/statistics/how-s-life-23089679.htm

大人が「幸せに生きること」に貪欲なのでは?

ワークライフバランスが1位のオランダですが、周囲のオランダ人たちを話をしていると、これは単に、
「子どもたちを幸せにするためにワークライフバランスを考えよう!」
という結果ではないような気がしています。

むしろ、
「働くことは人生の一部。バランスとって幸せに生きようよ!」
という考え方に、子どもたちの幸せがくっついてきたということなのでは…?

そんな風にも思えるのです。

学校の保護者と話をすると、子どもの幸せ“だけ”を考えるような議論というよりは「家族の幸福度」についての話が多いように感じます。
つまり、家族という一つのコミュニティの幸福をなしにして、子どもの幸せは実現しない。ということなのではないかと思うのです。

子どもに本音と建前を使い分けていませんか?

「大人になったら、お父さんみたいに朝から夜まで働くの?」

私たち大人は子どもたちに対して、決して「未来は暗い」と言いたくないと思います。
しかし、どれだけの大人が自分の人生の在り方を見せながら、
「大人になるって素晴らしいことだよ〜!」
と子どもたちの目を見て言えるでしょうか。

もちろん、仕事にコミットし、懸命に働くことが必ずしも悪いことではありません。事実、オランダでも昇進やプロモーションのために、仕事に対して周囲よりも多くの時間をかけたり、働きながら学位を取得を目指している人もいます。
そういった人たちの場合は「達成したい目標」のために、人生のある一定の時間を仕事に捧げていることもあります。

しかし、それでも多くの人たちが幸福を軸にし、「この一定時間だけ」という縛りの中で必要な時間をそこに割いているように見えます。
つまり、慢性的に朝から夜まで働くことを良しとしている人は少ないのではないかという感想です。特に子どもがいる家庭では「働き方をセーブする」ということが可能な家族は、家族の幸福感のために喜んでそれを受け入れる傾向があるように思います。

子どもにはブラック企業などと呼ばれる企業には勤めて欲しくないと望みながら、平日の残業を「仕方のないもの」として受け入れ、休日も返上で働くマインドの人たちが、子どもたちに「本音と建前の使い分け方」を無意識に教えているのではないか。

もちろん「本音と建前を使い分けよう」と思ってしている行動ではないでしょう。しかし、その無意識こそが子どもたちの幸福度に繋がらないきっかけ作りになってしまっているのではないかと思うことがあります。

自分の生き方/働き方を棚に上げて、子どもの幸せについて語るのはやめませんか?

結局、子どもの幸福度は大人の勇気ある決断によって守られている。
そう思わずにはいられません。
少し極論かもしれませんが、オランダが獲得した「ワークライフバランス1位」というのは、結局のところ「家族の幸福度」を高く維持しようとする勇気をもった大人の多さではないかと思うのです。
もちろんそれは家庭を持った人々だけでなく、世帯を持たない人々にとっても「余白ある人生」を手に入れるきっかけになっていると思います。

そして、その大人の生き方や在りようが、子どもたちに心の安定をもたらしているのではないか。そんな風に感じています。

子どもたちの幸せは、いつも大人の幸せのもとにある。
オランダ社会は、本音と建前を使い分けるのをやめなさい。と私にいつも教えてくれている気がしています。

この記事を書いたボーダレスライター に
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三島 菜央

Nao Mishima

  • 居住国 : オランダ
  • 居住都市 : バーグ
  • 居住年数 : 2年
  • 子ども年齢 : 4歳
  • 教育環境 : 現地公立小学校

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